街中に建つ倉庫兼事務所を住宅にリフォーム

 2015.4.13

鉄骨3F建ての倉庫兼事務所を30代ご夫婦と2人のお子さんの為の自宅にリフォームすることになりました。

S54年に竣工したこの建物は、まず耐震診断からはじめる必要がありました。一見頑強に見えたこの建物も、調査の結果、かなり
の補強が必要だとわかりました。耐震補強のために行った工事は以下の4点です。
1. 梁継手の補強(溶接、又はボルトの取替) 写真A、B
2. 床面の水平ブレースの補強
3. X方向(桁行)全面にX型ブレース(ターンバックル)
4. Y方向(梁間)方杖による保有耐力アップ

耐震工事A 耐震工事B

プランニングのコンセプトは下記の様なものでした
1. 敷地が間口4m、奥行16mで、両側の隣家が接近している細長い土地なので、できるだけ光と風を通し、自然を感じながら暮らせる家を作りたい
2. 現状に残っている、鉄の階段や倉庫の鉄のイメージはうまく残したい
3. 断熱性能や遮音性能など省エネ性能はできるだけ充実したい

4. 内装は、安全で心地よいものにしたい

このようなコンセプトで完成したのが、写真のような家です。

荷物用リフトのあった部分を吹き抜けとし、大きな天窓を設置。2Fのベランダと北面窓と天窓で風を循環させています。

吹き抜け

階段は鉄の踏み板の上に30mmの杉板を重ね、側面は杉板でオープン棚に。

階段

 2Fに上がると、30mmの杉板と本漆喰の空間。南面にベランダを作り、そこからのドアを開けるとステンレ(850mm×2550mm)のヘアライン天板と檜で作ったオープンキッチンに。その横に杉の食器収納、引き出し調理台を製作しました。ダイニングは、倉庫に眠っていた桜とけやきの3枚剥ぎ天板に、鉄板を溶接して足にしたテーブルを置きました。

キッチン

 

 リビングの壁は床から浮かしたキャビネットと、T=30mmの棚板をタイルではさみ込み、床と天井からの間接照明で一層浮いた感じを表現し、部屋の巾の狭さを感じさせないようにしました。

間接照明

階段室をはさんで、トイレ洗面へとつながっています。トイレは、漆喰壁に檜の壁、ナラの床。洗面室は杉の洗面台に月桃紙の壁です。

3Fは夫婦の寝室と図書室と子供部屋としました。夫婦の寝室には杉のスリットパネルと檜のロフトがあり、そこから屋上へ出られます。図書室は吹き抜けの天窓を望む開放的スペースです。

図書室

 子供部屋は、壁は男の子2人のために水色と白の漆喰壁とし、天井には、杉のスリット板を張っています。照明は雲の形をしてい
ます。最近、檜の机とイスが加わりました。

天井

 2階からの吹き抜け空間に響く3階の子供たちの声に、お母さんも一緒にいるようです。この建物は鉄骨の倉庫でしたが、断熱材をしっかり入れたのでこの冬も快適に過ごされていることと思います。

 

[DATA]

分類: 戸建リフォーム。 設計/施工: 高橋空間工房