趣味を楽しむ終の棲家

 2016.4.21

もく(木)の会にはいろんなお問合せを頂きますが、ご希望で無料相談も受付けています。この物件も中古の建物を購入し、その家を無垢の木や自然素材の内装にリフォームしたいと問合せ頂き、ご夫婦で相談に来られました。

ご家族はご夫婦と成人されたお子様2人の4人家族です。定年後はご夫婦が趣味を楽しめる終の棲家にという想いの中で
・無垢の木と自然素材の空間にしたい
・基本シンプルで
・構造的には耐震をまかなえるようにしたい
・ご夫婦共キッチンに立たれて料理を作るのが趣味なので機能的なステンレスキッチンにしたい
という要望でした。また、既に購入された建物については長屋の一戸で基礎はコンクリートブロックであるとのことでした。長屋であれば本来建物全体として耐震診断をし、補強計画を検討しないといけませんが、それは不可能なので、とりあえず購入された住戸だけの建物の調査と耐震診断に赴きました。

建物の基礎はない部分もありましたが、それ以外は全てコンクリートブロックでした。また、外観上は4つの住戸が長屋のように連なっているのですが、屋根が一つではなく、それぞれ形状違う屋根になっていました。その後何度か現場に足を運んで、お隣とは壁が接していますが構造的には別の建物だと確認出来ました。

 外観改修前s  矢印横向き 外観改修後s

 耐震診断、補強計画をもとにプランを2案作成しました。DKを1階のままか2階にもってくるか・・・予算的な兼ね合いもあり悩まれましたが、南と北にバルコニーがあり風通しが良く明るい2階にDKを持ってくることになりました。

キッチン側バルコニーs

ダイニングからキッチンを見るs

ダイニングからキッチンを見る

 キッチンのガス機器は後置き機種で決めておられたので、まずは厨房用品を使ってキッチンを製作している会社に相談しましたが、希望のものが出来ないと分かり、いろいろ探した結果、奥様が問合せされた岐阜の会社にお願いする事になりました。メール・電話でのやりとりでしたが、内部も全てステンレスだけで製作されたとてもしっかりした機能的なキッチンが取り付けられました。

キッチンからダイニングを見るs

キッチンからダイニングを見る

1階には収納を廊下面たくさんとり、個室はコンパクトに納めました。

廊下の収納s  階段(ギター吊金物)s

  今回は全面改装になり、まず問題の基礎は隣地に接している両側のコンクリートブロックだけを残して、ブロックの内側に鉄筋コンクリートを立ち上げべた基礎に、それ以外の部分は全てやり変えました。その上に構造的なバランスをチェックしながら、筋かいや構造用合板での耐力壁を配置しました。 解体で壁をめくっていくと、柱が腐って足元がなかったりシロアリが大量に出てきたり、かなり躯体が傷んでいました。傷んでいたところは材の入替えや補強をしながらすすめていきましたが、予想以上に箇所数が多くその作業に手間取りました。
内装の仕上げについては事前に杉と漆喰で仕上げた『おうちcafeモモ』を見て頂き、イメージしていた雰囲気だったようで、床には杉板t30、壁は既調合の漆喰塗り、天井はチップ入りの紙クロスの仕様で統一しました。

この改修工事では構造的に一戸の住宅だったことで市の耐震改修補助を受けることができ、また断熱材を入れサッシを変えて省エネ等級4の仕様にし、設備配管の更新とメンテナンスにも配慮して長期優良住宅化リフォーム推進事業を、床・階段の木材は奈良県産材で奈良の木を使用した住宅への助成制度も受けています。
相談を受けてから長い期間をかけての改修工事でしたが、自分たちの想いがほぼ形になり、暖かい気持ちの良い空間が出来たことを喜んで頂けました。