日本の木(檜、杉、クリ、楢)や土に囲まれ心地よい風が流れる住まい

 2017.1.23

大家族の成長を見守り育んできた築28年の鉄筋3階建ての家屋を、今度はご両親から、若いご夫婦とお子さんにバトンタッチすることになりました。若いご夫婦は、時間はかかっても安全でしかも体に優しい住まいを望まれました。お子さんが裸足で走り回り、のびのび成長できる家。そんな姿を家のどこからでも見渡せる間取りを考えました。

階段

まずポイントの一つが、リビングの中央に3階につながる階段を作ることでした。幸い3階の床に堀こたつの開口(1m×1m)があったのですが、全体構造図がなく全容を知るため非破壊検査から始めました。

コンクリートスラブを抜いたところs

配筋の状況や鉄筋の太さ、コンクリートの強度を調べ、スラブを抜いても現状より強度が下がらないよう強度計算をして補強の工事を検討しました。又、内部の梁や外壁のクラックや外壁リブからの浸水が多くみられたので実際にホースで水を建物全体にかけ、チェックし、それぞれの箇所にあったエポキシ樹脂注入やシリコンコーキングを施工しました。

玄関s
2階の玄関を入って右にシューズクローゼット。そこがご家族の上がりぐちです。

アイアンと檜の階段s アイアンと杉で制作した 親子ドアを開けると、目の前にダイニングと3階のファミリールームを結ぶアイアンと檜の階段が現れます。見上げるとベランダからの青空とご主人ご希望の薪ストーブが迎えてくれます。

キッチンs

ダイニングを挟んで右にキッチン、左にリビング。キッチンは檜とステンレス、バック収納はいつでもパンやケーキが作れるよう人工大理石の天板。その横には、ママのワーキングカウンター(杉)があります。キッチンに立つママは、3Fで遊ぶお子さんの気配をいつもキャッチできます。

洗面ボールs奥さんのセンスが詰まった2階のトイレには、お母さんの手作りの洗面ボールがオンリーワンのトイレを演出しています。床にはタイル、壁には月桃紙を貼りました。

楢のローボードs

リビングには、ライトで浮かんだ楢のローボードの横に、パパとお子さんの勉強デスクを設置。二人並んだ背
中、小さな背中もいつかパパそっくりになっていくことでしょう。床は北海道のクリフローリング仕上げで、床暖房を入れました。壁・天井は消石灰と布海苔・黄土を混ぜた漆喰仕上げです。

ファミリールームの薪ストーブコーナーs

3階のファミリールームの薪ストーブコーナーからアウトリビングのベランダへと同じテラコッタタイルが続きます。ファミリルームは30mm杉のフローリングに、壁・天井は2階と同じ漆喰塗りとしています。
コンクリートの梁は杉の無地材で囲い、杉の磨き丸柱で補強。建具は月桃紙、和紙クロス貼り。子供部屋は杉のドアに杉のクローゼット。3階の寝室の3枚引き戸は杉のスリット材を使用し、部屋の空気を浄化してくれます。

今回、若いご夫婦が自然素材を受けいれてくださり、一つ一つ材料を吟味して使用することができました。心地よい空間が出来上がっていく現場で毎日仕事をさせて頂けたこと、とても幸せでした。感謝です。北風が吹き始めるころ、薪ストーブに火がはいり、ご家族で囲んでいらっしゃる光景を見せて頂けるのを楽しみにしています。

[DATA]

分類: 戸建リフォーム。 設計/施工: 高橋空間工房