住まいの“かがくぶっしつ” - はじめに 

“化学物質”

シックハウスや環境ホルモンなどで注目されるようになり、この言葉を聞くだけで危ないというイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

“化学物質”とは何でしょう?

実は、私たちの身体も含めどんな物質でも「化学」の目を通してみれば“化学物質”です。「化学」ではその物質の性質や成り立ちなどから、どういう物質かを定義します。しかし、シックハウスなどで話題にされる場合はより狭い意味で“有害な化学物質”や“人工的に作られた化学物質”を表していることが多いようです。

では、“有害な化学物質”というのはどういったものでしょうか。ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン…。挙げていけばきりがありません。舌を噛みそうな名前を覚えるのは至難の技ですね。そこで、今の科学が有害であるかないかをどう判断しているかということをご説明します。

安全性の考え方

今の科学では、「全てのものには潜在的に毒性がある」という考え方に基づいて化学物質の安全性を判断しています。毒になるか薬になるかはその使用量とそのときの影響の強さによって決まるという考え方です。使った量による影響を調べ、実際の使用条件でどれぐらい使われているかを推定し、なんらかの影響を及ぼす危険性が高いと判断された物質を「指定物質」として法律で取り締まっているのです。この使用量と影響(用量/反応)の関係がポイントです。残念ながら、この影響を調べるには膨大な時間と費用がかかります。そのため、どういう基準で判断するのかが重要で、「疑わしきは罰する」方向に考え方を変更していく必要があると言われています。

便利なものとして使われる化学物質。身の回りを見渡すと、家具・建材、洗剤、芳香剤、防虫剤、プラスチック製品、容器・包装、化粧品、薬…。ありとあらゆるところに化学物質は使われています。でも、その有用性の裏側には多かれ少なかれ必ずリスクがあるということをまずは知っておいてください。

次回からは、具体的なものの例を挙げながら、化学物質の表と裏のお話をしていきます。