住まいを“かがく”する - 防蟻処理 

今回は防蟻処理について考えていきます。

4年前の建築基準法の改正ではシロアリ駆除剤のひとつであるクロルピリホスの使用が禁止されました。その結果、体に害の少ないといわれる薬剤も出てきてはいますが、効果は5年だけです。5年おきに薬剤を散布しなければならないのは、負担も大きく体にまったく影響を与えない、ということも考えられません。

そこで私たちは、新築時の土壌処理の方法としては、基本的に薬剤処理をせずに、物理的処理(べた基礎・基礎パッキン工法など)で対応しています。それに付随し床下調湿のために炭を敷いたりする場合もあります。また、木部の防腐・防蟻措置は、耐腐朽性・耐蟻性のある樹種(ヒノキ・ヒバ・スギ・カラマツなど)の心材あるいは心持材を選ぶことで対応しています。べた基礎にするのは、構造面で足元を強固にすることが目的ですが、土中から侵入する白蟻を防ぐことが出来ます。コンクリートで地面を覆っているので、侵入経路が遮断されるからです。しかし、コンクリートに亀裂が入ると、そこから白蟻が侵入する可能性が生まれます。

そんな危惧をいだいていたとき、亀裂や隙間ができやすいコンクリートの打ち継ぎ部分(玄関や勝手口など)と配管周辺の隙間にメッシュ(ステンレス製金網)を施工することによって白蟻の侵入を防止するという防蟻方法を知りました。薬剤処理を望まない私たちにとってはとても興味深い工法です。イニシャルコストは薬剤に比べてかかりますが、それによって建物が守られて、その後の処理が不要で体にももちろん影響がないということを考えると、決して高くはないのではないでしょうか。でもそれだけでなく住む人が日頃から住まい方にも気をつけて、白蟻の進入路を作らないために建物の回りなどの日常点検をすることがとても大切です。