自然素材あれこれ - スギとヒノキはどちらが強い? 

「スギとヒノキはどちらが強いか」とたずねると、大抵はヒノキと答えますが、これは、あくまでも平均値で言っています。正確に言えば、ヒノキより強いスギもあります。これが、工業製品ではない自然素材のやっかいなところでした。以前は木材の強度は材を見て、節、木理の傾斜,割れなどで判断する方法(目視等級区分法)で決めていましたが、これは必ずしも精度が高くありません。そこで、機械的に強度を測定する方法(機械的等級区分法)が考えられました。

木材の強度は、樹種に関わらずヤング係数(木材に横から荷重をかけた時にたわむのを戻そうとする力を数値化したもの)と高い相関があります。ヤング係数を使って木材の強度を測定する機械をグレーディングマシンといい、曲げ荷重―たわみの関係から求める方式と、木口をたたいて縦振動の周波数を求める方式があります。このような機械で求められたヤング係数によって、“E110”などのランク付けをします。この数字が大きいほど強度が高いことを示しています。

住宅性能表示制度が始まって、構造材の強度の正確性が求められていますが、測定機械は高額なので、設置している製材所はまだ少ないのが現状です。けれども、このような機械の登場でスギでも強度の高いものは、安心して構造材として使えます。近くに木造住宅を建てているところがあれば、“E90”などの刻印を捜してみてはいかがでしょうか。