自然素材あれこれ - 杉「日本人の美意識を育んできた木」 

日本の代表的な樹種で、現在では人工林の40%を占め、古くから各地で植林されてきました。静岡の天竜、鳥取の、高知の、宮崎のなどの産地がありますが、5月の見学会で訪れた吉野は特に有名な産地です。同じ杉でも育つ土地や植林方法によって年輪の密度や色合いが異なり、吉野は植林の密度が高く冬寒いことから年輪の細かい赤身のきれいな材が取れます。

杉の特徴は、幹が通直で幹の上下の太さの差が少なく加工がしやすいことです。このため、建築用材としてだけでなく、昔から生活用品としても広く利用されてきました。古い造り酒屋の軒には必ず杉玉が吊るされていますが、あれは酒樽を杉で作っていたためです。杉の丸太の切り口を見ると、中心に近いところは桃色から濃赤色をしていて、外側は白っぽい色をしています。この赤っぽい部分を心材(赤身「あかみ」)、白っぽい部分を辺材(白太「しらた」)と呼んでいます。心材の方が辺材より腐朽に強いと言われ、同じ杉でも赤身のほうが価格が高いのはこの理由です。

杉は桧に比べるとやわらかいためキズがつきやすく床材には向いていないと言われていましたが、もく(木)の会では逆に、やわらかいから足にやさしく断熱性も高いと積極的に使用しています。一度杉の床を貼った人の多くは、その足ざわりの良さから他の部屋も杉に変えています。また、心材の乾燥が難しかったため、柱材の供給が少なかったのですが、乾燥技術の発達により、品質の高い杉の構造材が手に入るようになってきました。