自然素材あれこれ - ナラ材 

 

ヨーロッパではコナラ属の樹木を総称してオークと呼び、家具や床材によく使われますが、日本にあるコナラ属の木は、ミズナラ、コナラ、クヌギ、カシワ、アベマキ、ナラガシワなどです。 そのなかで、もく(木)の会がよく床に使用するナラ材はミズナラです。ミズナラは高さ30m、直径1.5mにもなるものがあり、枝葉も大きく広がるので、雄大な樹形をしています。ブナ帯に育つ樹木で、ブナより日光に強いので、ブナが衰えるとミズナラに置き換わるといわれています。ミズナラは北海道から九州まで分布していますが、北海道のミズナラが特に有名で、戦前はインチ寸法立てで製材された材が最高級のオークとして欧米に輸出されていました。しかし、現在は原木不足から、道産のミズナラの出荷量は減っています。ミズナラの特徴は重厚なこと。杉や桧に比べるとキズが付きにくい、という長所がある一方、足ざわりは冷たく感じます。まさ目面で虎斑(とらふ)と呼ばれる横じま状の模様が出ることがあり(ケヤキやクリにも見られる)このような材は特に家具材として珍重されています。

建築用材として利用されるミズナラに対して、コナラはまきや炭に利用されたため、以前は盛んに里山に植えられていました。切っても切り株から新しい芽が出てきて、10年ほど経つとまた生活用材として使えたことから、萌芽林とも呼ばれています。コナラはクヌギと並んでシイタケを繁殖させるほだ木としても最適な木で、私たちにとってはなくてはならない木でしたが、こうした里山は消えつつあるのが残念です。