19世紀中頃の住宅の改修~重要伝統的建造物群保存地区内にて~

 2026.7.19

橿原市今井町は室町時代から続く寺内町で平成5年に「重要伝統的建造物群保存地区」 に指定され、約500件が伝統的建造物(以下、伝健と表記)となりました。以来30年にわたり「修理」が行われ町全体が古の姿を取り戻し、その中で日常の暮らしが営まれています。

今井町は駅や商業施設・病院も近く、利便性に恵まれていますが、道が狭く建物の規制があり、他所へ居を移す人もおられるようです。それとは逆に町並みに魅せられ、この地を求める人もいます。施主も県内の他地域で育ち、この町並と二階からの景色に魅せられ、改修して移り住むことを決意されました。

施工前

施工後 (2階を蔵仕様に)

建物は長屋の2軒分をつないで1軒となっています。平屋部分は伝建であるため「修理」工事の扱いですが、昭和時代に増築された2階建ての部分は伝建以外で「修景」工事と扱われ、改修内容や補助金を受けるための条件が異なります。

「修理」部はオリジナルの外観に戻すことが必須で、出窓のような増築部分は撤去し、掃出しの木製建具、土壁下地、しっくい仕上となっています。傷んでいた下屋は現状が細い丸太の垂木で同じ仕様に取り替えました。「修景」部は木製面格子を設置することでサッシ使用が可能ですので、断熱性の高いサッシを用い国の先進的窓リノベ補助金を受けました。また、景観にあわせて蔵のような建物にするために、屋根の勾配を変えました。2階の竿縁天井を残しての小屋組からのやり替え工事は不安がありましたが、無事再利用でき、新規の杉板床やしっくい壁とあいまって安らぐ空間となり、施主の当初からの希望のハンモックでの時間を楽しんでおられます。

計画中も工事が始まってからも支えとなったのが施主と2度目にあった時に手渡されたA4の紙2枚。数々の要望とそれを表現したかわいいイラスト。そして「シンプルでいいので生活しやすさが基本です」の締めの言葉。とてもわかりやすくて、思いがスッと入ってきました。

広くなって自転車も置ける玄関

和室2室をLDKに

スチール面格子 (再利用)

和室施工前

 

 

 

和室施工後

ハンモックを吊るした2階の部屋 スチール面格子を再利用した階段腰壁

洗面脱衣 シンプルな洗面と建具再利用

内装壁は一部クロスを使用しましたが、それ以外はしっくい、及び自然塗料のローラー仕上げです。木部塗装は内部は防水の必要度に応じて2種類の自然塗料を使い分けました。

施主は、外壁の杉板の防腐塗装を自分でされました。昨夏の7月後半の電気の無い作業場。暑くなる前に、と朝6時集合で塗装を行いました。張り上げられた美しい杉板の外壁を見るたびに、あの日の作業がとても懐かしく思い出されます。

[設計監理:設計室buuhuu-u  青木順子]

[DATA]

分類: 戸建リフォーム。 設計/施工: 設計室buuhuu-u