【報告】住宅における省エネ対策ってどんなこと?その2 -今の住まいで省エネを実現するには-

お知らせ 2024.10.4

今年の夏は異常な暑さでした。この原稿を書いている9月中旬でも、1週間先の予報は最高気温が34度を超えるとのこと、地球温暖化は確実に進行していると感じさせられます。4月号では住宅の省エネ対策が喫緊の課題になっていること、また、省エネ対策を行うことが私たちの生活の質を上げることにもつながるということをお話しました。この号では具体的にどのようにすれば既存の住宅でも省エネを実現できるか、お話したいと思います。

 日本の住宅では、軒の出や庇が窓から入る太陽光を季節によってコントロールし昔から太陽のエネルギーとうまくつきあってきました。現在はさらにその方法が増えています。夏の暑さが戸外から室内へ侵入しないように冬は逆に室内の暖かさが室外に逃げないように床・壁・天井に断熱材を入れるというのもその一つです。それぞれの場所に適した断熱材を充填します。

床に充填した断熱材
天井に充填した断熱材
天井に充填した断熱材

一番熱の出入りが多い開口部(窓)はアルミサッシではなく、アルミと樹脂でつくられた複合サッシあるいは樹脂でつくられた樹脂サッシを使い、ガラスはペアガラスLow-Eガラスなどを使うと断熱性能が上がります。さらに余分な太陽エネルギーを入れないというのも大切なことです。これを遮蔽といいますが、先述のLow-Eガラスは遮熱としても使えます。このガラスはコーティングしている膜の向きによって遮熱にも断熱にもなるので窓の方位などを考えて使いたいものです。

遮熱として使う場合
断熱として使う場合

遮熱を考えるとき、面積が大きい屋根・外壁は省エネの一つの要素になりそうです。メーカーの実験によると遮熱塗料を塗布すると、屋根表面の温度を最大15~20℃下げることができるとのこと。屋根や壁の塗装は10~15年程度での塗り替えが望ましいので、塗り替え時には遮熱塗料を塗装することも選択肢の一つです。

 この円グラフは2021年の一般家庭1世帯で使われているエネルギーの用途の割合です。 大きなエネルギーを使っているのは給湯が28.7%、暖房が26.3%です。これらを少しずつ少なくできたら大きな省エネに繋がりそうです。  

 屋根面の利用というと太陽光発電が、まず思い浮かびますが、太陽熱を利用した給湯システムもシンプルで使いやすいものです。

 以前は直接水を屋根の上で温めていましたが、現在のシステムでは熱媒を循環させて、貯湯タンク内の水温を上げるようになっています。屋根上の重量が緩和されます。ほんの少しでも水温が上がっていれば、それを入浴やシャワーに適するように温度を上げるエネルギーは少なくすみます。

 暖房機器の燃料に再生可能な木を使うことも省エネと同じように効果があります。薪は燃やし始めに少し煙が出ますが、ペレットであればそれはもっと少なくなります。ペレットは木の端材や樹皮なども粉砕して、圧力をかけ円筒のチップにしたものです。排気筒や煙突を隣家の給気口近くに設置しない、洗濯物に煙が直接かからないようにするなど隣家への配慮は必要ですが、ストレスが多い今の生活の中では省エネ+αの潤いももたらしてくれそうです。