勉強会「木質住環境と健康」(2017年7月21日)

勉強会 2017.7.21

シックハウス症候群という言葉が認知され始めた頃、いわゆる「新建材」と呼ばれるものから人の健康に害
を及ぼすような物質が出ているらしい、そのような物質が出ない建材はどんなものがあるのか、それは昔か
ら使われてきた無垢の木材や自然素材なのでは、と無垢の木を使った家づくりを目指してもく(木)の会が発足
しました。当初は有害な物質はどんなものなのか、それはどんな建材から出ているのかを知るために勉強し
ました。そして、杉やヒノキを積極的に使った家づくりをするうちに、杉は人を健康にする力があるのでは、
と感じるようになりました。一方、大学でも杉の持つ有効性を科学的に解明しようという動きが活発になり、
徐々にその有用性が分かって来ました。そこで、7月21日(金)に木質住環境と健康に関する研究を進めて
おられる近畿大学医学部環境医学・行動科学教室の東賢一先生をお招きし、勉強会を開催しました。
実験した部屋
杉を張った部屋               杉を張らなかった部屋
いろいろな実験結果を教えてくださいましたが、杉材からはセドロールとβ-オイデスモールという特殊な
物質が出ていて、それらが自律神経系や免疫系によい効果(ストレスの緩和、良質な睡眠、疲労回復、粘膜
免疫)を及ぼしているとのことです。また、産地や木材の乾燥方法によって、これらの物質の発散量が変わ
っていることも教えていただきました。

杉材からの放散物

杉から出ている物質

私たちが実際の家づくりで感じていたことが科学的に証明されてきていることは励みになりました。人体への影響は性別・年齢・個人差などがあり、まだまだ個体数が足りないとのことでした。東先生は、今後もこのような研究を続けて行かれるとのことです。

※写真・グラフの出典 Azuma et al. (2016) Environments 3(4):37.