見学会「橿原市今井町まちなみ散歩」(5月20日)

見学会 2017.5.20

 

5月20日、重要伝統建築物群保存地区、橿原市今井町を訪れました。案内を引き受けてくださった今井ま
ちなみ保存事務所・日裏所長から、歴史そして町並みが甦りつつある現在進行形の今井町を案内いただきま
した。スタートは明治35年築の今井まちなみ保存センター華甍。明治後期の今井町を復元したジオラマがあ
り、町の全貌が一望できます。室町後期一向宗称念寺を中心に発展をとげた環濠集落の武装した様相が分か
ります。

まちあるき

幾たびかの歴史の危機を乗り越え、今、人の流出・空き家増加という現代の課題を解決するために
今井町は平成20年の家屋調査以降改修を続け、他地域からの移住も増え、行政が行った成功事例として国か
ら評価を受けているそうです。伝建地区では建て替えが認められないため、2~3本の柱を残して他の部材を
取り替える改修も見られます。また、昔のまちなみ景観の復元のため、電線の地中埋設も進行中です。
今井放課後児童クラブは、今井町の長屋の特徴である1列3室と土間の間取りをいかして改修されました。た
たみ敷きに座卓の勉強スペースと杉板張りの自由スペース。低炭素住宅の要件を満たすセルロースファイバ
ーの断熱材、木製サッシを使用しています。奈良県産 材の木、木組みをそのまま子どもたちに見てほしいと
いう願いから構造は表しになっています。耐震性を確保するための格子壁や筋違もデザイン・使い勝手を考
えた位置に配置されています。戸外の遊び場に出て、北西の空を見ると、重なる瓦屋根と青い空だけが見え
ます。日裏所長の「江戸時代と全く同じ景色です」との説明に皆「おぉー」と感嘆しました。観光化された
古い町並みではなく、「暮らす町」今井町を実感しました。