【報告】住宅における省エネ対策ってどんなこと?

セミナー 2024.3.10

 地球温暖化対策が待ったなしになっている現在、省エネを進めて行くことはこの地球上で暮らす私たちに課せられた課題です。様々な分野で課題解決の糸口を探っていますが、建築の分野でも例外ではありません。

 建築分野では住宅の省エネ対策として、具体的には何を求められているのか、何をしていけばいいのかをお話ししようと、3月9日(土)に大阪市立住まい情報センターとのタイアップでセミナーを行いました。会場には43名、オンラインでは18名の方の参加があり、みなさんの関心の高さを感じました。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと2020年に、宣言しています。

それを達成するために、新築住宅は

・2025年4月以降、すべての住宅は示されている省エネ性能に適合しなければならない。ここに文字を入力

・2030年にはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を目指す。つまり、家庭で使用するエネルギーと太陽光発電などで創るエネルギーのバランスをとって、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする。

というような厳しい基準が設けられました。新築住宅については、住宅を供給する側の責任として設計を行いますが、多くを占める既存の住宅でも省エネを考えなければならないと思われます。

 そしてそのことが、住宅内の快適性を高めることにつながり、身体への負荷の軽減を図ることができるということも紹介したいと、サブタイトルとして「~脱炭素社会と私たちの暮らし方~」という切口でセミナーを行いました。省エネのために有効な断熱材や窓のこと、そしてそれらを使った改修例などをお話ししました。

 既存の住宅で省エネを実現するには、太陽のエネルギーとうまくつきあうことが大切です。熱を伝わりにくくする「断熱」と、熱を入れないようにする「遮熱」の両方を考える必要があります。

 熱は温度の高い方から低い方へ移動します。窓や壁の断熱が充分でないと室内で暖房や冷房を使っても熱は逃げていってしまいます。

 また遮熱をしっかり行っていないと、夏の強い光が室内に入り込み冷房の効果を下げてしまいます。

 断熱や遮熱性能が上がると、少ないエネルギーで住宅内の室温を快適な範囲にコントロールしやすくなります。

・また、寝室の室温が適切であると睡眠の質が良くなり、ぐっすり寝られて気もちの良い起床にもつながります。

・窓や北側の壁などが結露しにくくなりカビなどの発生も抑えられ掃除も楽になります。

・ヒートショックのリスクが下がります。家全体があたたかい場合を「1」とすると、家全体が寒い場合ヒートショックのリスクは「1.66」と高くな るということも研究結果として報告されています。

 健康とも密接な関係がある省エネ住宅、それではどのようにすれば、既存住宅においても断熱性能を上げるなど省エネ住宅に近づけることができるのかを次号でご報告します。