理系の主婦が取り組んだ「私と家族の健康住宅」

 2013.8.16

爽やかな奥様のイメージを形にしました!

 

セミナーや見学会に大変熱心に参加をして頂き、1年たった頃、家を建てたいとご連絡を頂きました。
健康な住まいの造り様は理論やデーターだけで判断せずに”家族のからだが感じる状態(反応)”で決めたいという確かな考えを持っておられました。

そして4つの目的を実現するためにプランを考えていきました。

cs_n027rikei01

 

1. 家族にとって健康な住宅を建てること

設計前と着工前に施主と設計士・工務店とその下請け業者に以下の2点を徹底しました。

  1. 構造材、下地材、仕上材は可能な限り自然素材を使い施工は合板と接着剤を基本的に使用しない。
    接着剤、塗料、防腐剤を使用するときは、現在における高い安全性を有すと考えられる自然のもので検討する。
  2. 体におよぼす影響や感じ方は各個人により異なるため施主に最終決定をお願いする。
    予め設計士は全ての建材や設備を各々2~3点ずつ選び、カタログ、MSDS(製品安全データシート)、仕様書、実物サンプルを提示しショールームで細部の確認を通じて、施主の五感に判断をお願いする。

施主は資料やカタログの内容を苦になさらず検討され、実物サンプルを手にし、特に”匂いと感じ”を重視されました。さすが理系の奥様と恐れ入る事たびたびでした。

cs_n027rikei02

構造材はスギを使用

構造材及び下地材は全てスギです。土台関連はヒノキで防腐剤は自然のほう酸系のエコボロンを使用しました。効果は半永久的です。仕上材は床暖房の設置と将来の車椅子対応を考えて無垢ナラ材15㎜、寝室はうづくりのスギ30㎜です。
壁はしっくい塗りです。天井はしっくい塗りとスギです。2階吹き抜けの吉野スギの天井はとても元気が出ると喜んで頂きました。納戸や物入の内部も全てスギの良い香りがします。

 

2. “終の棲家”として将来の体の加齢変化への安心、安全対策

いつまでも自立して日常生活を内にも外にも送ることが出来ること。また子供家族が何時でも訪れやすくすることです。

将来の車椅子生活を考慮して、屋内の自立生活:回遊プラン、広い廊下、便所―洗面―浴室、将来の介護を考えた引き戸の組合せ。屋外との自立生活:駐車スペース3台と車椅子用の鉛直型段差解消機設備(将来設置可能)を計画しました。

cs_n027rikei03

ナラ材を張ったLDK

cs_n027rikei04

スギで作った特注家具

 

 

3. 夫婦それぞれの趣味を尊重した独立性のあるプランと設備

ご主人のオーディオルームの防音設計、奥様の寝室兼書斎

cs_n027rikei05

防音を施したオーディオルーム

 

4. 冬の寒さ対策と省エネ対策

寒い地域のため冬の寒さ対策が重要でした。断熱、暖房対策に重点をおきました。夏の暑さ対策は自然の風を利用した生活スタイルとしました。温水床暖房・AC・太陽光発電を取り入れ、太陽光発電システムとエコポイント対象住宅(省エネ基準)として2つの補助金を受けました。

施主には健康で永くお住み頂くにあたり、自然の木の特性を充分ご理解頂いて、優しく付き合って頂き、そして設計者としてこれからもしっかりと見守らせて頂きたいと願っています。

※工事中 大阪府立工科高校の生徒に現場研修の機会を提供し若い人たちに建築への興味を持って頂くことが出来ました。

[DATA]

分類: 新築住宅。 設計/施工: よしの山本設計企画