家族が集える空間づくり

 2013.8.17

隣接した土地を手に入れられたのを機会に築10年の既設部分の改修と増築工事を行ないました。

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既設建物は1階が壁式鉄筋コンクリートで2階が木造という混構造です。その既設建物に一体的なつながりの広い空間を増築したいとの要望でした。既設の壁式鉄筋コンクリート造の場合、開口出来る部分が限定されます。

まず現況と図面で調査し、改修部分の出入口や窓など開口部の位置・形状変更や増築部分の位置・寸法を検討して増築する建物とのつながりを考え、動線を検討していきました。

cs_r22sakai06今まで10年間の住まい方の中で、気になるところ・気に入っているところを教えて頂き、そこで如何に住みやすい空間を提供できるかということを考えていきました。
既設の水廻りの位置はあまり大きくは変えていないのですが、もともとキッチンのあったところに家事室を配置し、洗面とキッチンのどちらにもつながる動線にしました。
ただ、洗面化粧台を設置した位置にある窓を変更できなかったので、鏡をガラス用のレールでスライド式にし、窓を開ける時と鏡を使う時の使い分けをして頂くようにしました。

増築部分

増築部分は木造平屋建てで、既設建物の2階のバルコニーへの影響を出来るだけ少なくするような高さ・屋根の形にしました。内は、その屋根形状で天井を高くし、ロフトも設けました。増築部分の部屋は既設のダイニングにつなげてリビング、その奥に書斎と子ども室があります。

■リビング

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■書斎

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■子ども室

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書斎は床を40cm上げて机に座った時に足を下ろせるようにしました。その床の高さを利用したリビング側の収納棚とテレビボード、書斎側の本棚を特注家具で製作しました。電気設備などの配線も含めて、かなり製作時には複雑な納まりになりましたが、リビング側にはナラ材のテレビボードそして書斎側には杉の本棚が納まりました。

cs_r22sakai05内装の仕上は改修部分のキッチン・ダイニング・増築部分のリビングは床暖房用の桧材15㎜張りで、壁天井はスイス本漆喰仕上げとしました。書斎・子ども室・ロフトは杉の厚板(30㎜や36㎜)を張り、壁と天井は紙やレーヨンを使ったクロスを貼り、増築部分には幕板としてデザイン性と空気質を考えて30㎜の杉スリット材を廻しました。

また、既設の和室・増築部分のリビング・子ども室を囲むようにウッドデッキを設けることで、それぞれに広がりを持たせました。外構も出来るだけ優しく町並みに溶け込むように塀を波形にしました。増築の外壁・塀は既設建物のタイルとも調和するような色を選んで、左官仕上げとしました。

これからもご家族が快適に気持ち良く過ごして頂ける事を願っています。

家具製作:高橋空間工房