好きなものだけに囲まれた住まい
これからご結婚されるお二人のために、二人がくつろげる優しくてしかも素敵な住まいにしてほしいと、ご両親からご依頼をうけました。若いお二人は、自然のものが大好き。便利なものに囲まれた暮らしより、本来の材料が持つ味を楽しみ、大切にメンテしながら生活していただける・・お母さんから、お二人のお話を聞きながらそう感じました。そして今まで、私が目指してきた住まいそのものをご提案しよう!そう思いました。
リフォームしたのは築15年の公団のマンション《和室を洋室に》
木毛セメントの床システム 天然のカラーオイルを塗装
和室をリビングに
現状の畳下は120㎜の空間。遮音等級を確保する為、木毛セメントの床システムを設置。根太間に40㎜のパーフェクトバリアー断熱材を入れました。仕上げは北海道の楢フローリング15×120×1850を敷き詰めました。数少なくなったと聞く北海道の楢はきめが細かくとても美しいです。施工後現地で天然のカラーオイルを塗装しました。
《襖を杉の建具に》
厚み18㎜の襖溝の敷居と鴨居はそのままで、厚み28㎜の杉の建具を引違でつり込みました。建具芯が敷居溝とずれるので、職人さんの腕の見せ所です。
《I字型キッチンを、L字型に》
もともと独立キッチンで、ダイニングへと続くスペースに冷蔵庫置き場が2枚の壁で仕切られていました。昼間でもライトを点けないと調理できないキッチンでした。体に優しい思いやりの食事を、楽しんで調理されるお嫁さんのために、明るく作業性の良いキッチンにしたくて、2枚の壁と垂れ壁を撤去し、もとの一列型キッチンにL型のカウンターを追加し、全体にL型のキッチンへと作り変えました。
フロアーBOXの内部は檜で作り、米ぬかオイルで塗装し、扉、引き出し前板、見え掛は、すべて楢で作りカラーオイルで着色。
ダイニングリビングからの明るい光を感じられるキッチンに、生まれ変わりました。
完成するまで一度も若いお二人にお会いすることがなかったのでとても心配でしたが、引き渡し後お会いしたとき、このリフォームをとても気に入ってくださり、特にお嫁さんは一日の大半をキッチンで過ごしていますとおっしゃってくださいました。私にすべてを任す、と言ってくださったお母さんに心から感謝です。そして、部屋のインテリアを見せて頂き、無駄なものは何もなく好きなものだけに囲まれた空間のすばらしさに驚きました。
もう一度、毎日の暮らしにとって大切なものはなにか?考えてみようと思いました。