もく(木)の会 無垢の木のいえ「シンプルな間取りと少しのこだわり」

 2017.5.8

平成27年度の地域型住宅グリーン化事業で採択された『もく(木)の会無垢の木のいえ』として建設した物件で、今回の構造材は奈良県産材で建てました。

外観写真s
外部からのアプローチは、正面に杉の縦格子を設け、横からの動線にすることで、道路から玄関への直接的な目線 を避けて距離を少し保つ工夫をしました。また、このよう に外部に少し無垢の木を施す事で木のあたたかさを醸し出しているようです。

玄関s
間取りは玄関を入り、横の縦格子戸の先にはシューズクロークとして外回りの物も含めた収納スペースで、正面の両引き分け 戸を開くと玄関と一体の空間になるホールです。

ホール(玄関側)s

ここはフリーのスペースで友達との遊び場やワーキングスペースなど、その奥にある寝室、子ども室との緩
衝帯的な役割もしています。

キッチンからLDs

ホールにある階段を上がると、2階にはLDK1フロアーがあるのみで、それ以外は水廻りとキッチン裏に洗面室と繋がるように家事室を設けています。ここは食品庫であり、バルコニーに洗濯物を干すためのスペース、お風呂に入るための衣類の置き場といろんな用途に使われています。
キッチンはステンレスのオーダーキッチンにし、夫婦2人で使う事が多いので対面式でどちらからも使えるように配置しました。

LDからロフトを見るs
LDは屋根なりに勾配天井にし、一部をロフトにすることで空間の広がりをもたせています。構造材の柱・土台回りは桧で横架材は杉を、内装材は階段・個室・ロフト・水廻りの床やLDの天井材には奈良県産材の杉を使っています。一部LDK・ ホールの床には岩手県産の栗材を張りました。短い材を1,800に繋いで製品しているものではなく乱尺で注文。450・500・600・700・900等ばらばらの材が入ってきて、大工さんを悩ませました。内外部の木部塗装はドイツの自然塗料で、室内の壁・天井は個室・水廻りにはウッドチップ入りの紙クロス、それ以外には既調合の漆喰で仕上げました。

バルコニーs

また、LDKから家事室に設けたバルコニーは木の現しで床は杉板のウッドデッキで、室内から段差なしで行き来できるようにしました。
準防火地域内で外回りは防火サッシを使用していますが、玄関戸だけは延焼ラインから外れたところに配置し、木製の建具にこだわりました。
今回設計の時期に熊本地震が起きて、耐震については特に考えさせられました。長期優良住宅で耐震性能を有した建物ではありますが、今回はそれに付随して基礎パッキンを摩擦で減震させると謳っているパッキンに
しています。基礎パッキンを変えるだけなので簡易なものではありますが、施工性・コスト面では導入しやすい工法だと思います。また、劣化対策としての防腐防蟻処理には木材保存剤として認定されているホウ酸による処理を行いました。身体への影響が少なく、効果が続き再施工の必要がないということで採用しました。
コストとこだわりとのバランスを考えながらの設計でしたが、これから年数を経ることで趣を感じさせ、人が
集い地域に根ざしていけることを願っています。

[DATA]

分類: 新築住宅。 設計/施工: ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ)