八木西の家

 2020.1.28

創業から50年、地域に根差し、誰もが手にしやすい価格で上質な住まいづくりを目指す工務店の分譲宅地モデルハウスとしてこの家は建てられました。材木に造詣が深く、昔からの日本家屋の良さを知る社長からの依頼です。

敷地は44坪、最寄駅(特急停車駅)から徒歩11分。駐車スペースは2台、イメージする住まい手は30代、1FにLDKと和室、2Fに主寝室と洋室2部屋、延べ面積は32~33坪。そして屋根は瓦、全室床に杉の無垢板を張りたい、というものでした。昨今の建売住宅の内装材はメーカーの新建材を採用することが一般的です。
工期も早く、お客様からのクレームも少ない、と考えるからです。ですから今回の試みは、無垢の杉の良さに触れたことのない多くの方にその良さが伝わる良い機会ではないかと思いました。

プランニングにおいて意識したことは、必要な場所に必要な収納です。玄関を入ると、土間収納・ファミリークロークと続きます。土間収納には靴等を。ファミリークロークにはコートや鞄等を収納します。キッチンにはパントリー、洗面室には長さ165cmの壁に可動棚収納を配置しました。奥行は浅目ですが、案外使いやすいです。2Fの3室にはそれぞれクローゼットがありますが、主寝室には8畳の寝室+3畳大のフリースペースがあります。

限られた予算の中で内装材も部分的に杉の無垢板のようにほっこりできるものを使っています。玄関を入った正面の壁はタテ糸にパルプ、ヨコ糸に麻を織り込んだ織物クロス、リビング天井を一部折り上げ天井にして杉板張り、和室の壁は麻入り土佐和紙重ね貼り。建具も本当は杉の建具にすれば良く合うのでしょうが予算内にということでメーカーの既製品建具です。カラーを1年経った杉の落ち着いたカラーに近いものを選ぶことで空間の違和感を無くしています。

 家のイメージカラーは「墨色・白・杉の色」。玄関タイル・瓦・ペンダント照明・キッチン扉・浴室のカウンター・洗面台扉に「墨色」。外壁と内壁のメインカラーは「白」。全て自然素材で、という訳にはいきませんでしたが、イメージカラーを統一することで、空間の調和が生まれました。  

[DATA]

分類: 新築住宅。 設計/施工: 相河真弓設計工房