アトピーのお子さんのためにマンションの内装と収納を杉に
Sさんは、当初、アトピーのお子さんのために自然素材で家を建てたいともく(木)の会 に相談に来られました。が、自分たちが住みたい場所ではなかなか手頃な土地が見つからなかったため、新築マンションを購入して、内装を自然素材に変更することにしました。

杉を敷いたリビング

トチで作ったダイニングテーブル
床は、洗面所と浴室を除いて、すべて杉の30mmを張っています。 管理規約に防音規定があることから、既存の複合フローリングの上に接着剤を使わないで 施工しています。
杉の厚みを30mmにしたのは、板の重みで既存のL45のフローリングの影響を少なくすることと、リビングダイニングに付設されている床暖房は使わないで、杉の断熱性のみで過ごすことにしたからです。
洗面所と廊下に段差が生じましたが、添え木を斜めにすることで、つまずきにくいようにしました。

廊下の収納扉を杉に

杉を貼ったキッチン
床の塗装は自然塗料系のクリアワックスを、収納扉や引き戸の仕上げはオイルフィニッシュを使用しました。壁と天井は、ビニールクロスを剥がし、セルロースを原料にしたエコクロスと杉の白太(辺材の部分)を貼りました。杉は、リビングや子供部屋の1面に使用し、部屋の表情に変化を持たせています。
また、廊下の収納扉・リビングの引き戸、子供部屋のクローゼットの扉も杉で作り変えました。クローゼットは扉だけでなく、内部も杉板を張っています。これは、内部の合板からでるVOC(揮発性有機化合物)を衣類に染み込ませないための配慮です。

クローゼットの扉を杉に

クローゼットの内部にも杉の板を貼る
マンションは、通常、ビニールクロスと複合フローリン仕上げられているため、湿気がどこにも吸収されません。このように、杉をたくさん使うと、湿度が高い時は、湿気を吸い、低い時は湿気を出してくれるので、人にとって過ごしやすい湿度に近づきます。
アトピーのお子さんには乾燥がよくないので、無垢の木の調湿効果は、症状を和らげてくれるのでは、と期待しています。