新しい“ 場 ワークプレイス を提供

 2022.5.3

このマンションは海と山に挟まれた神戸の街を一望できる高台にあり、自然の風と光と緑に包まれた公園のような環境に建っています。

  

最上階の西端に位置し、隣接する東面を除き、南・西・北の開口は周囲の視線を受けません。

 

10年前『シックハウス患者が生活できる室内』をテーマに、全て自然素材のワンルームに改装しました。重い化学物質過敏症のご夫婦の一週間の体感宿泊や、化学物質過敏症を発症した方が3ヶ月体感宿泊に来られました。アトピーの子供や若い人たちに杉や漆喰に直接触れてもらい、体感した全ての方から気持ちいい、長時間の打合わせも疲れない等の高い評価を得ることが出来ました。これらの経験を通し、此度のコロナ禍にあってどのような体調の方にも職場や自宅とは別に、安全で安心して働く場所が必要と考えました。コロナ禍で求める室内環境は、室内外の空気の質と換気そして温度と湿度にあると確信し、杉材の活用が最良と考えました。

そこで再度改装し、充分な広さの3室のワークプレイスを提供します。リラックスして、仕事に集中できる場所です。風が3室を通り抜け、各室に自然の光を取込み、刻々と変化する空と緑を感じて、仕事に専念出来るように計画しました。

壁、床の仕上げは無垢の杉、天井は厚塗り漆喰、多くの和紙を建具に使用して自然の森の中にいるような室内環境を造りました。前回の工事は高いレベルの空気質を作ることでした。杉の特性である空気浄化能力、調温、調湿、断熱、免疫力アップ等の優れた機能を最大に引き出すために杉材の生産工程と自然乾燥に特化しました。今回の再度の改装では、さらなる空気質精度を引き出すため、板材の4倍の浄化能力を持つスリット材を壁や建具、家具等、随所に使いました。杉スリット材は開発者の一員として杉の持つ特性効果の効率が非常に高いと認め活用しています。前回の全面躯体断熱工事に加え、開口部の断熱性能向上のため新たに樹脂サッシを取付け二重サッシとし、気密性向上には既存サッシの全クレセントを取換え、内障子を含め雪国仕様になりました。漆喰天井は厚塗を付加して調湿効果を上げ、玄関や室内の壁にも杉スリット材を張り足し空気浄化機能を高めました。サニタリーの換気扇は高性能に取替えました。

 

私達はコロナ禍を機に 空気を汚染させない努力と合わせて森の力、杉の力を借りてさらなる安全な空気の獲得に努力していきます。

[DATA]

分類: マンションリフォーム。 設計/施工: よしの山本設計企画