住んでみて優しい住まい
このリフォームは、膝を痛められた奥様がこれから少しでも膝への負担が少なく、楽に家事ができるような住まいを目指して、打合せがスタートしました。ご主人は小児科の医師で、そのクリニックは無垢の木や漆喰に包まれ、奥様のセンスによる素敵な絵本と木のおもちゃが並んでいました。そんなご夫婦のご希望は、もちろん漆喰や木をふんだんに使った住む人に優しい空間でした。
約 1年のプランニングを経て工事が始まり、耐震補強などをクリアしながら7ヶ月をかけて完成しました。
玄関
左手に草木を感じながら、緩やかな階段を登っていくと、桧で作った親子ドアがゆったりと迎えてくれます。
玄関に入ると、アールに広がった漆喰壁が優しく現れます。そのまま廊下を通ってリビングへ。
リビング
リビングの勾配天井には、5mの梁を支えるために桧丸太の梁を通しました。壁には小さなニッチを取り、庭に咲く季節の花たちが漆喰壁をバックにさりげなく飾られています。北に面した出窓からは、庭の木々の緑が季節の移ろいを教えてくれます。南の掃き出し窓からは風に乗って、ご主人の大好きなクラシックが流れてきます。
南と北の両方の庭を見渡せる最高の位置にキッチンを配し、桧の香りに包まれながら料理していただけると願いをこめました。
カウンターの壁にはマガジンラックを作製。長年使っておられたカップボードも上下に分けて新しく作ったものとコラボし、収納と机に生まれ変わりました。
何でも新しいものに替えるのではなく、古いものも生かして使っていく、奥様の素敵な考えです。
バス
ゆったりとバスタイムを楽しみたいというご主人のご希望を形に。真っ白いタイルと石に囲まれた広いスペースにピンクのバスタブがアクセントに。お孫さんの花ちゃんの笑い声が響いてきそうです。北と南に窓を配置、風通りをよくしました。
吹き抜けの階段を見上げると小鳥の描かれた壁紙が。
今回の仕事では、ご主人の住まいに対する一貫した思いと、奥様のちょっとしたところにも工夫や楽しさをプラスしたいというアイデアを学ばせていただきました。
[設計監理:高橋空間工房 高橋定子]