みんなをつなぐ家

 2022.5.6

ミニチュアハウス組立体験の記事をきっかけに「もくの会」にご相談に来られて早や3年。

築100年になるご実家の隣に新しい住まいを建てることになりました。

 午後の光が差し込むダイニングからキッチン 奥に家事室を望む

 

最初にいただいたご希望は、「家族がほっと落ち着いた気持ちになる場所。風や光が入る、シンプルで、年をとっても使いやすい、メンテナンスがしやすい家。」

性能の部分では、「耐震等級3、省エネ性能」等を求められました。

構造材は大阪府森林組合の河内材を使いました。
土台・大引き・柱に「桧」120角、横架材は「杉」。

耐震等級3を取得するにあたり、床構面には構造用合板を使用しましたが、外壁には壁体内の透湿性を重視し、壁耐力は筋違いのみとし、仕上げはモルタル掻き落とし、建具は樹脂サッシを採用しました。

内装材は基本的には自然素材とし、奈良吉野の杉一等材の床と上小節材の階段、壁・天井は和紙クロス。

建具は1Fに既製品の無垢の建具、2Fは襖です。襖はコストパフォーマンスが良いこともありますが、住宅設計に携わるものとして、日本家屋の良さを次の世代に伝えたい、との思いからです。

フリールーム 襖

 

キッチンカウンター下の収納引き違い建具にも、ご実家の使用しなくなった古い木製建具のガラスを再利用しています。

古いガラス再利用

 

桜のカウンター下収納 引出し

この家の中心にある桜のカウンターには、キッチン側とダイニング側のどちらにも引き出せる引出しを作りました。

お箸やスプーンなどをキッチン側からしまい、ダイニングテーブル側から出して使います。

どの部屋も4.5帖から6帖ほどの広さですが、その繋がり方を工夫し(建具は引戸・引込み戸を中心)、ちょうど良い距離に家族の気配が感じられるようにしました。

キッチンの横に畳小上りの子どもさんのスタディコーナーをつくり、階段踊り場の壁面上部に高窓を設けたり、廊下に内窓を配置することで、光と風がどの時間帯でも感じられる気持ちの良い住まいができました。

スタディコーナー

 

階段 高窓

 

廊下 内窓

バルコニーはありませんが、2Fの3方向に窓のあるフリールームでは洗濯物、そして布団も雨を気にせず干せますし、子どもさんからの唯一の希望であったハンモックを掛ける場所でもあります。

廊下からフリールームを望む

 

ご実家側の窓からは100年を経た家屋や前栽の緑が借景として目に入り、ホッと心が安らぎます。

キッチン小窓から

 

ご近所に暮らすご主人のご両親も、お引越しを心待ちにされています。

3世代を優しくつなぐ、そんな家が完成しました。

 

[DATA]

分類: 新築住宅。 設計/施工: 相河真弓設計工房