体にやさしく心をなごませる住まいづくり

 2013.7.26

玄関

cs_r11ktei01  健康仕様で別注した下駄箱扉は吉野杉の無垢材。有害物質を含んだ接着剤を使わず、中の棚板も吉野杉。家の内装だけでなく家具にも自然素材を使って、「健康住宅を建てたが、家具からホルムアルデヒドが発生している」ということがないよう注意しました。玄関引き戸を開けると、はっと心をなごませてくれる杉材にかこまれた広々とした空間が現れます。

 

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【キッチン側からLDを見たところ】
床は車椅子でも耐えられる桧の3層サンドウィッチパネルを敷き詰め,壁は接着剤を使わずに杉を貼った。 窓が西向きなので、スクリーンをつけている。部屋の雰囲気に合わせて,ダイニングテーブルを特注した。天井は和紙を使った。

【LDからキッチン、玄関方向を見る】
写真中央・ガラス入り引き戸の向こうが玄関、その左手奥の白い引き戸は、浴室です。改築にあたり、キッチン・洗面所浴室が一直線に並ぶようにし、家事動線の短縮を図りました。

【キッチンとその回り】
システムキッチンはホルマリンの心配のないステンレス製。キッチンの横には家事コーナー、ちょっとした書き物ならここでOK。流しの前には跳ね上げ扉の棚があり、調理の合間に扉を開けるのに便利。後ろには食器戸棚が杉の無垢材で作られました。この戸棚も特注で、くるっと冷蔵庫を取り囲むように配置され狭い空間に上手に収納が取られています。 勝手口は通風をよくするためよろい戸になっていて、随所に女性建築士ならではの配慮がみられとても使いやすいキッチンになっています。

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【洗面所とトイレ】
大型洗面台は玄関・収納と同じ仕様で吉野杉の扉。 建具もすべて杉の無垢材で別注しました。 洗面所の扉を開けると、ほのかな杉の香りが漂います。 トイレには、香りと抗菌作用のある桧を使用。 心地よい落ち着きとやすらぎを与えてくれます。

K邸 設計者の想い

キッチンのアイデア

跳ね上げ式の棚
施主の奥様が手が少し不自由で、高いところのものが取り難い、握力が弱い、という事情がありました。当初は引下げ式の棚を考えていたのですが手が届きにくいため、シンク上のアイレベルの跳ね上げ式棚(左写真)を取りつけました。作業中は開けたまま使い、片づけが終われば扉を閉めます。使用頻度が高いので、扉の留め金はしっかりしたものを。また、いつも手で押さえる場所には、ステンレスの板などを貼っておくと汚れが簡単に取れます。
冷蔵庫の位置
右の写真はダイニング側からキッチンを見たところ。冷蔵庫はシンクのすぐ後ろに置き、それを取り囲むように杉で収納家具を特注しました。この冷蔵庫の位置は、ダイニングからも近く、ちょっと飲み物を取りに行く時などとても便利です。
食品庫
奥に見える勝手口の右側の壁の厚みを利用して食品庫を作りました。壁一面に買い置きの調味料などが入れられ、どこに何があるか一目瞭然。勝手口から入ってすぐに入れられるのも便利と、奥様は大喜びです。

設計:(有)ホームアイ 藤田佐枝子]

施主の声|家のリフォームは人生のリフォーム

リフォームして早4年になります。決意したのは築30年が経過し、各機器(特に水廻り)が老朽化したこと、妻の病気が進み寝室を1階に移したいと思い始めたことなど全体に不便を感じてきたからです。20年ほど前から増改築するときは必ず建築士に頼んで満足できるものに仕上げてもらい、これを最後の機会にしたいと思っておりました。この時すでに心に決めていた建築士がもく(木)の会メンバーでした。特に家族がよく使うLDK(居間、食堂、台所)などのリフォームは女性建築士に頼めば、家事や育児その他日々の生活の中での経験から住み手の生活の悩みをより身近に感じ取り、女性ならではの視点と発想で設計してもらえると思っておりました。リフォームとは「どこを直したいか」ではなく、どう住みたいか(高齢化)を考えることです。家づくりの再設計、家のリフォームは人生のリフォームです。会のメンバーの方も、建築士をはじめいろいろな分野の専門家がおられますので安心です。リフォームをお願いしたときはまだ一般に自然素材を使った健康住宅はあまり知られていなかったように思います。

私も住んでからいろいろと勉強するようになりました。これからリフォームの計画予定の方は、恥ずかしがらずに家族それぞれの生活や持ち物の量などありのままの生活を見てもらうといいと思います。セミナーなどに参加して建築士のナマの姿に触れ、住み始めてからも長くおつきあいできる親しい関係を築いておくのがベストです。

[DATA]

分類: 戸建リフォーム。 設計/施工: (有)ホームアイ