自然素材で水回りをリフォーム(茨木市)
建築後30年ほどたって水回りが傷んできたAさんは、キッチン・浴室トイレを新しくすることにしました。その際、かねてから自然素材を使いたいと思っていたので、設備だけでなく内装も一新しました。
自然素材にこだわって、キッチンの扉も桜の無垢材で特注。
自然塗料を塗り、引出しだけアクセントにブルーを使いました。床と左側の壁は杉で、正面の壁は上部は月桃紙(げっとうし:沖縄のショウガ科の繊維からつくられた和紙)、下部は珪藻土を使いました。
キッチンの上はタイルとタナクリーム(漆喰壁の一種ですでに水で溶かれてクリーム状にしてあり、素人でも塗れる)を使っています。珪藻土とタナクリームは施主自ら塗装に挑戦、本職にはかなわないものの愛着を感じていますとのこと。遊び心を出して、壁の一部に庭の葉っぱを貼りつけました。数日後には葉っぱは落ちてしまいましたが、葉脈が模様として残っています。
ダイニングキッチンには天窓をつけたので、明るい空間になりました。中央の大きなテーブルは36mmの積層パネルを使って大工さんに作ってもらったもの。まだ、自然塗料のワックスを塗っていないので白く見えますが、ワックスを塗ると左側の棚と同じ色になります。床の杉もお嬢さんと2人でワックスをかけたそうです。
浴室・トイレ共、壁に桧が貼られました。奥様はこの浴室が一番のお気に入りとか。桧の香りが浴室をすがすがしい空気にしていて、「一日の疲れが取れます。」とのこと。
壁や床の表情の変化もまた楽しみ
もく(木)の会でバス、トイレ、キッチンの水廻りをリフォームして4年になります。杉の床は気持ちが良く、娘は年中裸足です。特に、冬は合板の床のようなヒヤッとした冷たさがなく温度差を実感します。また、梅雨時の無垢の床はサラッとしています。よく、無垢の床は手入れが大変だと言われますが、水などが落ちた時にすぐ拭き取るようにさえすればシミにはならず汚れはあまり気になりません。むしろすぐに拭くくせがつき、以前より手入れがやさしくなったように思っています。拭き掃除の気持ちよさを再発見しました。
友人のもてなしもキッチンです。壁の1面、そして天井にも木を使っていますが、木の空間は落ち着くと好評です。自分達で塗った珪藻土の壁は、今もってひび割れも欠落もなくコテのあとや葉の押し型も健在です。素人のDIYでも十分なものができると感心しています。キッチンは北側にありますが、リフォームでつくった天窓は明るさも十分で、雲が流れるのを見ていると気分もリフレッシュできます。
以前はカビで悩まされ、リフォームのきっかけになった浴室はヒノキの壁と天井に囲まれた空間になりました。結露やカビもなく、木の調湿作用を一番実感できる場所です。リフォーム当初のむせ返るような香りは抜けましたが、今でも入浴中の空気は快適です。直接水がかかる場所はタイルにしていますので、メンテナンスの問題もありません。
4年たち、壁も床も木の色はずいぶんたくましくなりました。キズも多少つきましたがそれも表情の一つだと思っています。
徐々に変わる表情も楽しみながらこれからも丁寧に過ごしていきたいと思います。