茅葺きの家を第二の人生のためにリフォーム

 2013.7.25

第2の人生を自然の中で暮らしたい、と築70年余りたった茅葺きの民家を改修しました。

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付近の民家の屋根はトタンで覆われているものが多い中、ご主人のこだわりで茅で屋根を葺き替えました。水は近くの山から引いてきたものをろ過して使っています。家の前には大きな桜があり春にはきれいな花を咲かせるそうです。夏は前を流れる小川に蛍が飛び交うとか。

都会にはない四季折々の楽しみがある家です。

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土間を上がってすぐ左に囲炉裏を作りました。もともとは北側にあったものを南側に移しました。囲炉裏を囲んで食べる鍋物や焼き物は絶品だそうです。囲炉裏の北側はキッチンスペース。外観は民家の風情を残しましたが、設備は最新式。キッチンはオール電化でIHヒーターを使っています。収納家具をうまく配置して流しの汚れ物が見えないようになっています。

土間の右手には茶室を作りました。床柱はご主人が惚れ込んだ夏椿の生木。乾燥による狂いが少ないということで採用しました。自然の湾曲をそのまま生かす為に大工さんが苦労したとか。奥様のご姉妹がお茶の師範で、ここで初釜を開く予定、とのこと。

洗面はシャワー付き。家の雰囲気に合わせて無垢の板を洗面台に使いました。トイレは厳しい冬でも心地よいウオッシュレットです。近くに温泉があるので、浴室はシャワーのみ。老後を考えて座って使えるものにしました。また、庭の畑仕事の後すぐにシャワーが浴びられるように勝手口のすぐ横に作られています。

民家を改修して

定年退職後の余暇を過ごすために妻の実家に近い綾部市の茅葺き民家を改修して3年になります。購入当初は茅葺き屋根は傷みがひどく、トタンがかぶせてありましたが、どうしても茅葺きを残したかったので、近くのお寺の葺替えのために置いてあった茅を分けていただいて、自分たちも手伝って屋根の葺替えをしました。茅葺きの家は夏は涼しく、冬も寒くありません。

綾部には週に3~4日ほど滞在しています。私達が滞在している間にたいてい1回は訪問客があります。お客さんが来るとよく囲炉裏を利用して食事を楽しんでいます。水は山から引いているのでそれを鉄ビンで沸かすとお茶の味が違います。

土間だった部分に茶室を作りましたが、妻の姉がお茶会に利用したり、お客さんが多い時は私たちの寝室に利用しています。綾部の家にはシャワーしか有りませんが、ずっとそこに住んでいるわけではないし、近くに日帰り温泉もあるので特に不便は感じていません。もともと住んでいる京都の家は街なかにあります。だから、春の桜、夏のホタル、秋の紅葉、冬の雪と四季折々の自然が満喫できる綾部の家は本当にリフレッシュできます。

茅葺きの屋根、太い柱、百年は経ったであろう民家を残せた事は私たち夫婦の喜びでもあります。

[DATA]

分類: 戸建リフォーム。 設計/施工: KS(ケイズ)設計室