最新施工例・・北山丸太の里から
北山杉の生産地、京都市右京区京北町で改修を行った住宅をご紹介します。鉄骨造の1階は木材をストックする倉庫で、階高と呼ばれる1階の床から2階の床までの高さが4m30㎝ありました。(通常は高くても3mまで、うちの事務所では新築計画の場合はもっと低く設定します。)さらに階段が急勾配なので、現場で調査を行ったときに毎日の生活をスムーズに行うには階段はもっと緩やかにする必要があると思われました。1階の倉庫の一画にトイレと浴室が設置されており、2階は木造でシンプルな田の字型プラン、和室二間と洋室1間+DKという間取りでした。改修後、当面は女性1人と飼いねこ3匹が生活をします。
当初は階段の付け替えとキッチンの入替、床・壁・天井などの内装を更新とするいうことから始まった計画でしたが、今後の子育てなどを考えるとトイレや浴室など水廻り部分を2階の生活ゾーンに組み込むことを考えようということになりました。
緩やかになった階段を上がりきったところがちょっとしたホールになっています。そこのシンボルが出節の北山丸太であり、テーブルです。忙しい生活を送る世代にとってリビングには通しにくい場合も、ちょっとした来客を通せる場として、朝出かける前に身支度を調える場所、帰宅時にはコートを脱いだりバックなどの整理をする場所として使われる予定です。また3匹のねこにとっては戯れる場所になることと思います。
元の和室二間は床をフローリングに替えると共に北側は壁も撤去し、断熱材を充填し、内窓を入れました。この地域の冬は厳しいものがありますのでこの冬の効果が期待できます。
間仕切られていた襖は元の位置のままで貼り替え、元の田の字型プランの良さを活かし広々と暮らせるようにしています。
■北山杉と丸太
最初にも書きましたが、今回の改修場所である京北町は北山杉・丸太の生産地として有名なところです。北山杉の山の景観はは先号で報告した南河内の山に比べると、柔らかな感じです。育て方の違いによるようです。北山杉は、室町時代から植林により育てられ、茶の湯文化や数寄屋建築の広まりとともに、その皮をむき加工をした北山丸太が生産されてきました。桂離宮や修学院離宮、島原の角屋(すみや)などでも使われています。
明治時代には突然変異で表面にコブ状の凸凹(絞り)のある品種が発見され、それが珍重されました。大正時代には人工的に絞りを作る技術が生まれ、一般住宅でも床柱としても多く用いられました。しかし、和室や床の間が作られることが減った昨今は生産量も減っています。
独特な光沢があり、手触りも柔らかなこの丸太を身近なところに取り入れたいと常に思ってきましたので、今回もそんな思いを形にしました。京都の街中から京北町へは40分ほどです。山の景色や丸太をぜひ見ていただきたいと思います。
[設計・施工監理 KS(ケイズ)設計室 山本恭子]