家の中心は子供たち参加のダイニングキッチン
施主のご家族は夫婦と子供高1(女)、小6(男)、小4(男)の5人です。家族の4人にアトピーの症状が出ていました。幼稚園や学校の環境に疑問を感じ提案もしてきましたが改善されませんでした。そこで医師であるご夫婦は子供の健康と自然を求めて茨木市の郊外に居を構えることにしました。住まい造りのコンセプトを話し合いました。
- 基本は健康。冷暖房に頼らない生活。
- 親子の触れ合う場(ば)を多くつくる。
- 日常生活を楽しむ“仕掛け”を多くつくる。
- 仕事を持つ主婦の家事の効率と軽減をはかる。
等です。健康な住まいをつくるのには、一にも二にもプランニング(計画)が大切です。
立地条件の“外の環境”と “内の環境”の両方を考え、光・風・緑を室内にとりいれました。
夏は比較的すごし易く、冬は寒い地域です。各部屋には複数の風の道を縦横に作りました。長く暑かった今年の夏も殆ど冷房なしで頑張られたと聞きました。冬の主な暖房対策は床暖房(温水床暖房)と薪ストーブです。1階のリビング・ダイニング・キッチン(32帖)と2階の各子供室はオープン階段でつながっています。そこで、暖房計画は各部屋毎の暖房と1・2階の広い空間を経済的に温める方法の併用としました。
11月25日は暦の上で吉日で、火の使い始めにとても佳い日と教わりました。薪ストーブの火入れ式と茶室の炉開きを家族や仲間が集まって行う予定です。
さらに健康住宅づくりに配慮したことは建築材料と一番肌に近い家具づくりです。
内装は全て自然素材と自然塗料です。床は床暖房対応の栗(15mm厚)、竹(水を使用箇所)(15mm厚)、唐松(地下プレイルーム)(30mm厚)。壁はスギ(12mm厚)、珪藻土、珊瑚から作った土(茶室)、木の繊維から作られた壁紙。
天井はスギ(12mm厚)、竹(茶室)、同じ木の繊維で作られた壁紙ですが、不燃のもの(1階キッチン・ガスコンロ使用)。納戸及び押入の内部は床、壁、天井全てスギ(15mm厚と12mm厚)を貼りました。
3mのリビングテーブルと2.4mのダイニングテーブルは古材の松を再利用したものです。古材を使った理由は、乾燥が充分なことと、材に一目ぼれしたからです。この古材は民家の梁に使われていたとても太い材でした。施主にも気に入っていただいています。
杉と桐で作ったベッド
ベッドは、枠は龍神のスギを使い、接着剤も必要最小限にしました。今回は、布団を敷く部分は、あえて国産の桐を使いました。その理由は、輸入物の桐にはどんな薬剤が使われているか分からないこと、桐はあたたかいことです。あたたかみを活かすために、床はスノコ状にせず、パネル状に製作してもらいました。ご入居されて半年弱ですが、より快適で、より環境に負荷のかからない“住まい方”をこれからも住み手と一緒に考えて行きたいと思っています。
[設計・監理 プランニングオフィス][ ベッド製作 ジーワークス ]