奈良県産材にこだわった自然素材の家
小中学生のお子様とご夫婦の4人家族の新築住宅です。
奈良県にお住まいなので、奈良県産の材にこだわって建てたいとの要望で家づくりが始まりました。それ以外の要望はご夫婦共に働いているので、家事がしやすい動線を考慮し、不在時にも風を取り入れられるようにということと、あとはシンプルにとの事でした。
桧で特注したキッチン横の家事室は洗面室に繋がっていて勝手口も設け、家事全般をここでま かなえるようにしました。洗濯物を干す家事室や浴室には内倒し窓で常時開放出来るようにし、子 ども室・書斎のロフトには小さな窓を設け、風の流れを作りました。
構造材は土台の桧以外全て奈良県産の杉の一等材とし、室内は真壁造りで柱・梁を現しにし ています。また、1階の床は柔らかい杉の表面を熱圧処理した厚み30mmの板材を張りました。 処理することにより、表面が硬くなりキズがつきにくくなります。2階は処理のしていない厚み 35mmの杉板を張りました。また、各部屋は杉板の腰壁を縦張りにし、ダイニングの一部の壁や 収納内部は杉板を天井まで横張りしました。ロフト以外の2階の天井は屋根の勾配なりに杉板 を張っています。
玄関の壁には竹の粉を使った塗り壁を塗りました。この塗り壁は、茶筅などの竹製 品がさかんな生駒し高山地区において、毛糸編針を製造する際に排出される竹粉の有効利 用の一手法として考えられた竹のけずり粉を使用し竹の繊維も入っています。竹そのも のと燻した竹で色の調合をするようですが、今回は燻した竹のみを使用し、とても落 ち着いた雰囲気になりました。寝室、子ども室、トイレの壁には吉野の手漉き和紙を貼っ ています。手漉き和紙には深みがあり風合いの良さを感じさせてくれます。
LDKの南側にはウッドデッキを設け、そこからの光が杉の木に吸収され、やさしい日差しとなり、 落ち着いたほっとさせてくれる空間になっています。西側を向いている玄関ポーチ前には、 西日よけや目隠し的な要素も含め設けた杉の列柱が、建物の表情を豊かに演出してくれて います。
浴室の壁・天井、洗面室の天井には水に強い槙を張りました。
[設計・監理:ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ) 西野智子]
[キッチン製作:高橋空間工房 高橋定子]