子どもがのびのび遊べる家

 2013.7.21

Hさんと私たちが出会ったのは2年前です。「もく(木)の会」の完成住宅見学会に 来られて、国産の杉を使った構造や内装を気に入ってくださいました。2人の男の子とおば あちゃん、そしてご夫婦の住まいとして、最初は今の敷地の半分の面積に3階建てで考え ました。しかし、地盤が悪く、杭を含めた基礎工事と足の悪いおばあちゃんのためにつけた いホームエレベーターにも随分とコストがかかることがわかり、近所に敷地をさがしてな んとか2階建てで計画しようということになりました。

とは言ってもそう簡単なことではなく、土地を探している間に岡山まで木材や原木市場を見に行ったりしながらH夫妻と私たちでイメージを固めていきました。運良く隣の敷地が買えることになり、当初の倍の敷地に2階建てで計画ができました。

そんな訳で2年という年月がかかりましたが、敷地探しの間に固まったイメージであとの設計は最短時間で完了しました。

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アウトドア派で近所にたくさんの友人がおられるこのご家族には、外と中が渾然一体となって醸しだす空間が最適と6帖分の土間を計画しました。そこでは子どもたちやご夫妻の友人が集まって炉を囲もうということになりました。夫婦の寝室以外に間仕切りのない2階は、子どもたちが集まって遊ぶ場所になりそうです。まだできあがっていませんが、登り棒やうんていもできる予定です。 小屋組には杉以外に江の川(ごうのかわ)の地松を梁に使いました。年輪の詰まった緩やかなカーブの梁はしっかり屋根を支えてくれています。

しっくいを塗った壁、和紙を貼った壁は身体にやさしく、湿気を調節し空気を守ってくれることでしょう。杉とコルクの床はおばあちゃんの足にもやさしく、やんちゃな子どもたちが転んでも柔らかくうけとめてくれることでしょう。 共働きのご夫婦の留守を守るおばあちゃんと子どもたちにはOMソーラーのゆるやかな床暖房は心も 暖めてくれることと思います。Hさんのご家族とは一緒に床には荏油(えゆ)を塗ったり、土間の三和土 (たたき)をつくったり、楽しい思い出が作れました。住まいづくりという思いを形にしていくにはやはり時間をかけるということの大切さを今回も感じさせていただきました。

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[DATA]

分類: 新築住宅。 設計/施工: KS(ケイズ)設計室高橋空間工房