保育所を杉で木質空間に

 2013.7.16

3年前にマンション1階の保育所分園を大阪府産材で木質化する設計監理を担当し、そこを見学された別の保育所の園長先生からの依頼で翌年、今度はコンビニ跡の建物を利用した保育所分園を作りました。

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[分園玄関と分園保育室]

ここでも内装の床・腰壁は杉で仕上げました。今回は奈良県の吉野杉を使用し、壁はウッドチップ壁紙で無塗装仕上げ。予算的なこともあり、天井は既設を補修し水性塗料仕上げになり、照明器具も可能な限り既存のものの移設で対応しましたが、子どもたちにとってあたたかい落ち着いた空間が出来上がりました。

この分園は堺市が自宅待機児を解消するための対策として、0~2歳の子どもを対象にした施設として既に保育園を運営している法人に建設を呼びかけていたものです。既存の建物を分園にするので、決まった器の中で子どもたちの年齢にあわせた間仕切りを考えていかなくてはならず、家具での間仕切りなど開園後も先生方はいろいろ苦労されています。そんな中で、先生方からの要望で子どもたちの動きに合わせて、柵や家具を追加したり、変更したりその後もお付き合いさせていただいています。 前記の保育所の本園は堺市から移管され建物をそのまま引き継がれたのですが、築20年以上ということでもあり、改修も少しずつ行われているようです。そんな中で子どもたちのロッカーなどをやり替えたいということで、今までのロッカーと形はあまり変えずに杉で製作しました。そして本棚も杉で製作し、木に囲まれた絵本コーナーになりました。

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[新設されたロッカーと絵本箱]

また同じ系列の別保育園のことで相談がありました。そこは7階建ての複合施設で、高齢者の方と共に子どもたちが過ごす街というコンセプトで高齢者施設の中の2階にある保育所です。その保育園の玄関ホールから図書コーナーに続く広いスペースを、子どもたちの保育スペースや地域の子どもたちに遊びに来てもらえる園庭開放など多目的なコーナーとして仕切るために可動間仕切りの建具を取り付けたい、というのが先生の要望でした。

床には床暖房が敷設されている事や消防の指導、ホールの通風を考えて、当初は高い天井の上部80cmくらいあけたところに梁を通して可動間仕切り建具を計画しました。しかし、日々子どもたちが保育を受けている中での工事で、補強や補修を含めて大掛かりなことになるので、話が一時中断していました。ところが今年に入って急遽何とかしたいとの連絡があり、床も天井もさわらない様に家具と建具で空間を作ることを提案しました。所轄消防署の了解も得て保育所側もこれならと工事にかかることになりました。

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[ホール側の間仕切りと保育所側の間仕切り]

工事は家具屋と建具屋で対応し、分園のときにもロッカーを製作した経緯もあり、家具は龍神のジーワークスに依頼し、本棚や子どもたちのロッカーになるように計画しました。家具を設置後、建具屋に家具を固定することと建具を上吊することを兼ねた「頭繋ぎ」を取付けてもらい、それに建具を切り込んで取付工事完了です。大掛かりな工事にもならず、週末の土日で出来上がりました。先生方には『こんなやり方もあるんですね!』と驚かれ、地域のお母さん方にも喜んで頂いているようです。このような出来る事からの木質化をこれからも提案できればと思っています。

[DATA]

分類: 店舗・施設。 設計/施工: ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ)