大阪府産材の杉で内装を仕上げた保育所

 2013.7.13
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保育所 外観

マンション1階の店舗跡に新設された保育所分園の内装工事です。0、1、2歳が対象の定員30名の小さな保育所で、この4月に開園しました。

以前は共同保育所として、木造2階建ての文化住宅の耐震性は大丈夫かと心配になる建物で、30年近く親と保育士が運営していました。その保育所が市から受けていた補助金が近々打ち切られることになり、今後の行き先として、数年前に四箇所の共同保育所が1つになって出来た民間の認可保育園の分園として、新たな出発をすることになりました。

場所探しには紆余曲折がありましたが、元の保育所が仁徳天皇陵の前に位置し、大仙公園という大きな公園に毎日散歩に行っていたので、その近くにある駅前のマンションの1階を借りることになりました。

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保育室

今回の内装工事に関わるにあたり、小さな子どもたちが長時間過ごす施設なので、安心・安全を提供することを第一に考えました。内装は無垢材と自然素材を取り入れて、出来るだけ接着剤を使わないようにしました。また、子どもたちに木の暖かさや気持ち良さを体感させてあげたい、お母さんたちにも無垢の木の空間を知ってもらいたいという思いで、柔らかい杉材を床と腰壁に採用し、布団などを入れる収納の壁にも一面に杉材を張りました。

特に今回は大阪府内の保育所なので、大阪府の材を使いたいと思い大阪府森林組合と打合せをしました。床暖房(ガス)を施すため、木材の乾燥に注意を払い、子どもが指を突っ込まないようにと、生節の大きさなどにも気を使いました。床や腰板の杉板にはメンテナンスを考えて自然塗料のクリアーオイルを塗りました。腰から上の壁と天井は自然塗料を塗装し、部分的に絵を貼ったり、おもちゃを吊るすことが出来るように杉板を張っています。また一部天井を高くし、太鼓引き(上下に丸太の形を残した)化粧梁を取付けました。

部屋は保育室が1フロアーで直接トイレ、職員室、調理室などを配置しています。また保育室からウッドデッキに出て、子どもたちが大好きな電車を眺めています。トイレは子どもたちの小さな便器と大人用のトイレもあり、これは車椅子の人にも対応できるように可動式のパーテェーションを杉材で製作しました。

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元気に遊ぶ子どもたち

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トイレ内部

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木の棒の込み栓

保育室側の建具も全て杉材で製作し、押入や職員室の建具には子どもたちが開けないように、丸い木の棒を込み栓のようにしています。子どもたちのロッカーや下駄箱などの家具類も杉材で、もく(木)の会のメンバーのジーワークスで製作しました。本園の園長先生には『建物が子どもたちを保育する。』と言われ、とても喜んで頂きました。
開園以来、無垢の木に囲まれた空間で、毎日散歩に出かけるなど、子どもたちは元気にすごしています。先生方もロッカーを移動したり間仕切りをいろいろ考えて、子どもたちが落ち着く空間造りをされています。
木の門扉やウッドデッキ、ガラスを通して木の空間や子どもたちの様子がよくわかり、道を歩いている人がよく外から中を窺っていて、地域で見守られていると感じます。また暖かく明るいと入園や一時保育の希望者も増えているとのことです。
今後も先生や保護者と共に子どもたちにとって、より良い環境づくりのお手伝いをしていきたいと思っています。

[設計・監理 ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ) 西野智子]  [家具製作 ジーワークス]

報告

この保育所でセミナー&体験会を開催しました。

10月26日 セミナー&体験会『この木、なんの木?無垢の木ってどんな木?』

[DATA]

分類: 店舗・施設。 設計/施工: ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ)