中古住宅を改修し、自分たちの生活を安心・快適に…
以前にもく(木)の会に改修工事のご相談があり、担当したお宅とは、メンテナンス等でご連絡をいただき、お付き合いをしています。そちらの娘さんがご夫婦でご実家近くの賃貸マンションにお住まいで、その周辺で住宅を探されていました。更地や築浅中古住宅・接道が不明な中古住宅等々、気になる案件があれば、アドバイスをさせていただいていました。
そしてご実家近くの中古物件を購入されることになりました。2000年新築の建売住宅で外観は洋風ですが、内部は長押・竿縁天井の和室二間のある家です。高齢のご夫婦がお住まいで、室内はきれいでした。そのままでも入居可能でしたが、今後長く住み続けるにあたって、性能向上と自分たちの暮らし方にあった改修工事を行うことになりました。まず優先順位を決めて、予算の振り分けを検討しました。
○外部廻りの改修
外部のメンテナンスはされていないようなので、劣化部分も見られることから、屋根のモニエル瓦(乾式コンクリート瓦とも言われ、現在は生産中止)の塗装や外部サイディングの洗浄・シーリングのやり替え等外廻りの改修を第1の目的としました。
○断熱改修
ご夫婦2人暮らしで、主な生活の場は1階で2階の一室を寝室とし、その他は収納や予備室となるので、1階のサッシは全て省エネサッシへの入替、2階は寝室のみ内窓を取付けました。そして天井・床下・改修する壁には断熱材を充填しています。
○耐震改修
中間検査も実施されている物件ですが、検査済証が無いことがわかり、点検口から床下・天井裏を調査しました。すると、浴室入口横の筋かいの取付く柱が切欠かれていました。浴室ドアが収まらないためかと思われますが、耐震性能の低下に繋がります。改めて耐震診断の上、耐震改修工事も行いました。
また2階の南面出隅が1階の開口部の上にあり、長期荷重によるたわみや地震時に大きな力はかかることを考慮し、サッシの入替え時に種類を変えて、2階出隅部分の1階に柱を入れました。
○内部の改修
ご実家の内装は床を杉板・壁を漆喰仕上げにしていますので、同じような仕様で、設備機器を新しくすることを要望されました。和室二間とDK・2階寝室は床を杉板にしました。壁の仕上げについては、入居までの時期・予算の関係で、改修部分以外は既設壁のままとし、今後DIY等も含めて検討することで、今回は見合わせることにました。DKと居間の間の建具を撤去して一室とし、和室の竿縁天井と長押は残し、垂れ壁は撤去して広がりのある空間にするようにしました。仏間・押入も撤去し床柱を杉柱に入替えて、この部屋はワーキングルームとして、ご夫婦の仕事や趣味の部屋に活用されています。
収納内部の棚取付工事のため 久しぶりにお伺いしました。あるものを活用しながら、自分たちの生活に合わせて少しずつ工夫をされていています。
今後どのように変わっていくの か、楽しみにしています。
[ 設計監理:ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ) 西野智子]