子どもたちのための家族と共に成長する家

 2025.4.16

2年以上前にもく(木)の会のHPからWEB相談があり、内容は中古物件の購入についてでした。その物件は入手には至りませんでしたが、その後も物件の相談を受けて、昨年の3月に中古物件の内覧に同行しました。築50年ぐらいの建物で何度か居住者が代わり、維持管理の上での劣化が進んでいましたが、周辺環境や希望の地域ということで購入の運びとなりました。

テラスと一体にした玄関ポーチ

バルコニーを撤去・減築した裏庭

売主からの引き渡しまでの間に、ご家族の日ごろの住まい方や大切にしていること、住まいへの要望等についていろいろお話をお聞きしました。無垢の木で自然素材を使った安全な、そして子どもたちがのびのび過ごせる保育所のような家にしたいとのご要望でした。例えば、子どもたちが外から直接お風呂に行けるように、家の中をぐるぐる回れるように、そして上の子からはトンネルみたいなところ…と、既存の建物の中でどんな形にできるか意見を聞きながら検討をしました。

その間、ご家族も1人増え、ご夫婦と3人の子どもの5人家族になりました。物件を引き渡されて耐震診断・耐震改修設計を進めながら、まだまだ打合せは続きましたので、2023年度の耐震改修補助申請を取り下げ、今年度になって再度申請をし、4月末から本格的な工事に入りました。そのおかげで今年度の窓リノベと子育てエコホームの申請もすることができました。

手洗いを設置した玄関

裏庭への引き戸と浴室の間のトイレ

2階からの階段

1階手前からキッチンを通して裏庭を見る

キッチン背面から1階居室全体

既存建物のバルコニー劣化のため、その上の増築部分や下階の部屋を撤去しました。将来的にそこを外部空間としてDIYでウッドデッキにする予定です。

物件購入後の改修で、予算も限られている中、可能な限りコストを抑えることを考えましたが、どうしても譲れないところを確認しながら進めました。

床・階段全て杉一等材。塗装はご家族やお友達とDIYされました。壁・天井は紙クロス(オガファーザー)貼とし、2階の壁は下地のままにしています。

内部の建具も必要最低限まで枚数を減らして杉材で製作し、ほとんどワンフロアのような間取りになっています。玄関横の手洗い、洗面の2層シンクなどはまさしく保育所のように、中古の厨房用シンクを厨房機器屋で見つけられ、工務店と私も同行し購入し取付。キッチンもこだわりがあり、箱体や扉は不要で自分たちの使いたい形にしたいということで工務店在庫のシンク部分のみ利用し、ステンレス板を継ぎ足し、杉集成材で本体を製作しました。

階段を上がった2階全景

梯子の2階部分

子どものための2階への梯子

この住まいはご家族・工務店・設計者が試行錯誤の上、お互い知恵を出し合い一つの形となりました。

これからご家族と一緒に成長し、自分たちの家にしていただけると思います。子どもたちの成長と共に今後の住まいの様子も楽しみにしています。

[ 設計監理:ZERO&NiS(ゼロアンドニーズ) 西野智子]