住まいを“かがく”する - エコ 

地球温暖化の進行に世界がひとつになって歯止めをかけていこうという取り組みに「京都議定書」があります。日本は世界で四番目のCO2 排出量大国として2008年から2012年の間に1990年の6%削減を約束しました。ところが、現状は依然エネルギー消費量もCO2 排出量も削減の方向に進んでいません。官民あげて削減へ向けて努力しているはずですよね・・・。

三年前の冬、自宅の給湯器がとうとう動かなくなりました。日頃より「地球環境にやさしい住まいづくりを・・」の精神で仕事に取り組んでいるので、当然新しい給湯器も地球環境にできるだけ負荷のないものにしたいと、環境にやさしい”エコロジー設計”のうたい文句のものを選びました。カタログには「CO2 削減、低NOx、地球温暖化防止にも貢献します。」と記載。少々高い買物になるけれど、これまでのものよりは「エコ」に違いない、と信じて疑わず、新しい給湯器での生活が始まりました。自動お湯はり・適温・適量ストップ・自動追いだきと、なんと便利になったのかと家族がみんな感心したものでした。しかし、ここまで至れり尽くせりの機能がほんとうに「エコ」なのかなと漠然と思うようになりました。そこで、昔のガス料金の領収書と最近のものと同じ月で比較してみました。料金は新しい給湯器以降割引料金設定になっているので、料金自体はあまり変化はありませんが、その使用量にははっきりと差がありました。やはり新しい給湯器に変わってからの方が使用量は多かったのです。CO2 削減への障害になっているのは「私」だったのです。

最近の設備機器は昔のものに比べ、付加機能が多くあります。しかし、実際にそれらの機能を使いこなしておられる方は少ないのではないでしょうか。住宅を設計するとき私達は「できるだけ環境に負荷を与えない。」といった視点で計画します。が、設備機器を選定するにあたり「エコ」をうたい文句にしているからと安易に取り入れず、ほんとうに「エコ」なものは何なのか熟考する必要があるかもしれません。