住まいを“かがく”する - 接着剤
私たちが家庭や学校で日常使っているのは、主に合成系接着剤です。接着時間も短く、接着力も強く、労力もかからないので、広く普及しています。でも、この中にはたくさんの化学物質が使われていて、体に合わない方が増えてきました。では、天然系の接着剤にはどういった物があるのでしょうか? その接着力はどの程度なのでしょうか? 天然のものが総て人に安全とは言えませんが、ここで取り上げてみたいと思います。
- カゼイン系接着剤
牛乳の蛋白質であるカゼインを成分とする。ガラス瓶のラベルや、画材に使われる。 - 天然ゴム系接着剤
パラゴムノキから採取される、天然ラテックスを主成分とする。粘着テープやパンク修理に使われる。 - でんぷん系接着剤
植物のでんぷんを主成分とする。歴史は古く、麦粉で作った正麩(しょうふ)や、米由来の続飯(そくい)等、奈良時代から使われきた。澱粉質を水に溶いて煮た糊が明治の中期まで、多く使われてきたが、この糊はすぐ腐ってしまうので、保存できる科学的処理が行われるようになった。今は、コーンスターチが主流で文房具や紙接着に多く使われている。 - 膠(ニカワ)系接着剤
動物の蛋白質を主成分とする接着剤。動物の主要蛋白質(コラーゲン)を加水分解したものを、約60℃に加熱した状態から、冷却する過程を経て硬化し、接着するものである。製本やヴァイオリンなどに使用。
実際、澱粉系の米糊と膠を試してみました。
昔から、建具や家具の製作には米糊が多く使われてきました。柔らかく炊いた米を米粒の形がなくなるまで木のへらで練っていきます。練り続けるとペースト状になるので、それを刷毛で木と木に塗ります。塗って1日以上経つと接着できます。子どもの頃、母が封筒に米粒をつけて投函していたのを思い出しました。昔は、色んな物で代用していたのですね。先日、建具と家具を米糊と金物だけで製作しました。接着剤の臭いがしない空間が誕生しました。
昔の膠は、接着力も強く、安全で耐久性もあると言われていますが、乾くまでの臭いがくさいのと、温度の管理が難しいのです。今は、より使いやすくなった商品も出ているので、家具に使用したところ、臭いはありませんでした。これから、この建具と家具をしっかり見続けていきたいと思います。
合成系接着剤を使って製作した様な完成度や耐久性はないかもしれないですが、私達に優しさを与えてくれるのですからそれに答えた暮らし方をしていきたいと思います。