シックハウス - シックハウスと自然素材 

Q1.家を新築する予定です。シックハウスにならないための基礎知識を教えてください。

A

  • 内装材の選び方
    フローリングやクロス下地(合板、ボード類)は、日本工業規格や日本農林規格のFC0やE0のもの(2003年7月改正:F☆☆☆☆)を使います。システムキッチンや家具、クローゼット、押入、建具も同じ。クロスにもISMやRALなどの基準がありますので確かめましょう。たたみ、カーペットにも注意しましょう。
  • 施工のチェック
    施工にはたくさんの接着剤が使われています。今の住宅では接着剤なしで施工することは非常に難しいのです。接着剤や塗料などの種類、使用量を建築現場において正しく監理されるように設計者や工事会社に要求します。「手軽に早く」となると体への 配慮よりも強力な物が使われます。余裕を持った工事期間を持つ、完成してもすぐに入居せずに十分な乾燥期間を持つ、その間に換気を行うことが必要です。
  • 通風、換気に配慮
    間取りや窓の配置は、室内を風が流れるように計画を。夏に風が吹き込む方向に窓を取りましょう。夏に風が吹き込む方向に窓を取りましょう。関西は山や海が近く、地域で風向きが異なるのでご注意を。温度が上がるとホルムアルデヒド等の放出量が増えるので、パーゴラや植栽で室内に入る風を日影で冷やすことも考えます。
    吹き抜けや大きなリビング、開放的な間取りも有効です。換気口、換気扇も活用しましょう。エアコンや空気清浄機では空気は変わりませんので注意してください。
    設計者や住宅会社と十分に話し合いをすることも必要です。生活習慣や生活様式、家族の健康、アトピー・アレルギーの症状についても詳しく話をしましょう。シックハウス症候群は個人差があるといわれています。アトピーの子供はごくわずかな有害物質でも過敏な反応を示すことがあり、基本的な配慮だけでは十分ではないかもしれません。新建材には湿気を調整する機能はありませんので、場合により自然素材を使う必要もあるでしょう。床下の防蟻処理、畳の防虫処理も行き過ぎないよう、ダニを心配して薬剤の使用、抗菌グッズもできるだけ控えて下さい。

Q2.シックハウス症候群になると、どんな症状が出るのか、その対処法も教えてください。

  • 健康障害として様々な症状
    シックハウスによる健康障害は、まだはっきりと特定されていませんが、化学物質過敏症によく似た症状と言われています。はじめは目や鼻、喉に異常を感じる人が多く、頭痛や体のだるさ、意欲減退など様々な症状が出てくるようです。アレルギー体質の人に出やすく、化学物質に対する許容量が異なるので個人差もあります。ただし、許容量を超えてしまうと、誰にでも出ると言われています。体を鍛えていないから、と個人の責任に転嫁するケースもあるようです。一時的に大量に被爆したり、長期にわたって被爆すると許容量を超えてしまうので、日々過ごす住宅はやはり注意が必要です。家にいることの多い主婦や小さな子供には特に注意が必要です。
  • 換気や自然素材の利用で対処(実例から)
    [内装材をチェックしないで使用した例]
    20代の女性。壁のクロスを貼り替えてから、頭痛・吐き気がひどく、からやる気がなくなり、仕事が嫌になってしまいました。ビニールクロス、接着剤ともに問題があったようです。そこで、24時間換気をし、ベークアウト(暖房機などで部屋の温度を暖めて換気を繰り返すこと)もしたところ、間もなく回復しました。
    [自然素材でも施工方法をチェックしなかった例]
    自然素材のコルクタイルを使って床を張り替えたところ、においがひどく部屋に入ると気分が悪くなるため、部屋に入れなくなってしまった。施工方法に問題があり、1年後のリフォーム時でも乾いていないほどの接着剤の使用が発覚。下地材まではがして国産材の桧に接着剤を使わないで釘で止めて貼り替えたところ、においが消えて、今は寝室として利用。
    同じような例で、マンションの床を天然木で接着剤を使用してリフォームした40代の女性は、アトピーで肌が黒ずみ、不眠で悩んでいました。その床を剥がし、厚さ3cmの杉の床に施工方法を変えて貼り直したところ,症状が軽くなりました。最近は、ホルムアルデヒドを含まない接着剤が出てきました。接着剤を使う場合は、工事の人に確認してみましょう。
    [内装材だけでなく、家具やシロアリ駆除の方法が悪かった例]
    リフォーム直後から子供2人にひどい湿疹ができ入院するまでになってしまいました。医師からリフォームの内容の確認を指示されました。床下に付けた強制換気の位置が窓に近く、半年前に行ったシロアリ駆除の薬を含んだ空気が室内に逆流していたのが原因だったようです。床下の換気口の位置を変え、子供部屋の防虫剤、防虫たたみも除去しました。子供の湿疹後、母親が過敏になり、防虫剤、抗菌剤、芳香剤をよく使うようになっていたのですが、これは、逆効果でした。買い替えたベッドにも問題があり(底板からホルムアルデヒドが出ていた)、吉野産の杉のベッドに買い替え、カーテン・カーペットをホルムアルデヒドを分解するタイプのものにしたところ、2~3ヶ月後に症状がおさまってきました。
    新築やリフォームをした後、体調を崩しても、シックハウスと関連付けるのはなかなか難しいのですが、症状がひどい場合は室内の空気を調べてみるのも手です。例えば、大阪府では四条畷、茨木、藤井寺、貝塚の保健所で測ってもらえます。治療には専門の病院は少ないので、医師会に問い合わせてはいかがでしょうか。

Q3.子供がアトピー体質なので、内装に自然素材を使って住宅を作りたいと思っています。特に木について詳しく教えてください。

  • 自然素材の基礎知識
    自然素材はシックハウスの心配がなく、人にやさしい、環境にやさしいと注目されています。内装材を自然素材にしたら子供のアトピーが治ったというケースがある一方、「コストが高く、手間がかかる」と施工を断られるケースもあるようです。今のところ情報が少なく、施工された人に聞くこともお勧めします。
    自然素材にはあまり知られていない様々な働きがあります。木や紙には湿度を調節する作用があり、乾燥する冬の室内の湿度を適度に保ち、木造校舎では風邪による学級閉鎖が少ないという調査結果もあります。ダニやカビの繁殖を防ぐ抗菌作用、断熱性もよく、床に使えば衝撃や冷えから体を守ります。また、心を落ち着かせる働きもあり、子供部屋の内装材には最適です。
  • ・自然素材は高い?
    材料だけでなく施工費も合わせるとやはり割高。産地や種類によって価格は異なります。低価格の節のある材を産直で買うのが賢い買い方です。少し高くなっても乾燥した材を使ってください。施工、メンテナンスのしやすさが違います。
  • ・木と他の自然素材との組み合わせ
    木は床、壁、天井とどこにでも使いやすい材料ですが、総面積の10~20%ぐらいの使用量が心地よいとされています。他の自然素材と組み合わせることもいいのでは。紙の場合、機械すきと手すきのものがあり、機械すきのものはクロスと同じ程度の価格のものも出てきました(施工費はやや高くなります)。手すきのものは、材・工ともに割高になります。最近人気の珪藻土は、プランクトンの堆積土。いいことずくめの素材のようですが、それ自体で固まるものではありません。凝固材やつなぎ材が必要で、メーカーによって違います。含有率と種類を確認し、施工後のひび割れに注意してください。
    同じような例で、マンションの床を天然木で接着剤を使用してリフォームした40代の女性は、アトピーで肌が黒ずみ、不眠で悩んでいました。その床を剥がし、厚さ3cmの杉の床に施工方法を変えて貼り直したところ,症状が軽くなりました。最近は、ホルムアルデヒドを含まない接着剤が出てきました。接着剤を使う場合は、工事の人に確認してみましょう。
  • ・施工に注意
    接着剤の多用は避ける、塗装するときは自然塗料を使う、と最後まで気配りが必要です。内装をご自分の手でチャレンジされてみてはいかがでしょうか。時間がかかりますが、意外といいものができますよ。