自然素材あれこれ - 松(マツ)と米松(ベイマツ) 

昔から梁材としてよく使われていたものにマツがあります。マツ独特の円弧を描いた材が屋根からの圧力を見事に分散させるからです。また、樹脂分が多いので床材や敷居としても使われます。以前リフォームした寝屋川市のI邸でもマツを床に張りました。木材の世界で普通マツというときは、アカマツやクロマツを指します。クロマツは海岸地帯に、アカマツは内陸部に育ちます。乾燥・荒地といった過酷なところでも育つタフな木で全国どこででも見られる木ですが、関西で流通しているものは中国地方のものが多いといわれています。しかし、最近では松くい虫の被害や価格などの問題から、梁材はマツではなくベイマツを使用することが多くなってきました。

米松と書くのだからアメリカのマツだろうと考える人が多いと思いますが、これはマツではなく英名ダグラスファーというトガサワラの仲間です。サクラ材の説明でも書きましたが、木の色や木目、性質が似ていると一般的によく知られている木の名前を使うことが木材業界にはよくあるのです。ベイマツはマツの代用品として明治時代から日本に輸入されている外材の中では最もポピュラーな材です。余談になりますが、カラマツ、エゾマツ、トドマツもマツという名が付いていますが植物学的にいうとマツ属の木ではありません。カラマツはカラマツ属、エゾマツはトウヒ属、トドマツはモミ属です。ちなみに英名ではマツはパインといいますが、日本と同じようにパインと名が付いていてもマツではない木があります。木の名前ってややこしいですね。