令和3年度第1回森づくりサポート WEB 研修会(7月30日)

活動報告 2021.7.30

(一財) 大阪府みどり公社及び森林整備 ・ 木材利用促進支援センター主催によるオンライン研修会が 7月 30 日午後 、 開催されました 。 今回の研修会の目的は森林環境譲与税の有効活用であり 、主な受講対象者は大阪府下の市町村の役所の担当者です 。もく(木)の会からは青木が講師を務めました 。
3つのテーマで構成され 、 パート 1 は京都教育大学教授の山下宏文先生による 「 森林の学び方を知る~森林 ESD のとらえ方~ 」 の講演でした 。
ESD( Education for Sustainable Development )とは持続可能な社会の創り手を育む教育のことです 。
子どもは環境や自然への関心は高いが 、その知識は不正確で関わりも薄いのが実情です 。 森林環境教育 森林 ESD によって森林が ① 豊かな体験を与え ②正しい知識を得る場となり ③ 関わりを作り上げる場となると 、 森林の役割を話されました 。
パート2 は 「 河内長野市における森林 ESD の取り組み実践例 」 のタイトルで 、 大阪府森林組合南河内支店の倉橋陽子氏と河内長野市農林課の末久和幸氏によって取り組み実例が紹介されました 。
森林 ESD の 3 つのプログラムの柱として ① 出前出張授業 ② 体験プログラム等のコンテンツ構築 ③ 教員研修が中心にあり 、 周辺協力団体との連携を構築されています 。 まず 、 子どもへは体験を 。 そのための全面サポートは市が行い 、先生への負担を軽くするシステムを紹介されました 。 検討から実施に到るまでの学校の年次ごとのプロセスも構築され 、学校が体験プログラムを実施するまでの全過程において市のバックアップが準備されていました 。
私は短大で講師をしており、 木材の授業では導入で学生に 「 知っている木 10 個 」 を書かせることから始めます 。 花なら思いつくようですが木はなかなか書けません 。 体験がないからだと思います 。森林 ESD の普及によって子どもが森林と関わり学び考える機会が増えることを期待します 。

パート3 は青木が担当し 「 森林譲与税の有効活用~木質化 ・ 木製品導入のチェックポイント~ 」 を話しました 。 森林環境譲与税を利用する行政の担当職員の中には建築専門ではない方も多く 、木材の知識があまり なく 、税 を利用しての木製品発注なども始まったばかりです 。「木 」 だと思っておられるものが木でなかったり 、譲与税対象と認められない木製品を選択されるケースもあり 、 木製品を発注する際に役に立つ基礎知識と発注のチェックポイントを理解してもらうことを目的に内容を決めました 。
まず、 一昨年昨年と実際に譲与税を利用して木質化された空間や木製品の実例を紹介しました 。 譲与税利用を検討する対象の広がりを期待して 、 室内の床 ・ 壁 、 受付カウンター 、 机 、 椅子 、 パーテーション 、 展示ボード 、 ロッカー等様々な例の写真を紹介し 、 多様な使途を知ってもらいました 。
そして 「 譲与税を使ってあれ作りたいな 」 と思い発注に取り掛かるときのチェックポイントとして以下の 10 項目をあげ 、 説明しました 。

①譲与税を活用するための条件:国産材であること。 地元の木材の利用を主眼におくと杉や桧が材料となる。

②木の種類:針葉樹と広葉樹があり加工の難易や特徴により使い道が異なる。

③心材と辺材:部位による特徴と使い道

④木目:板目や柾目の説明

⑤含水率:理想の含水率は造作材では 15 以下、家具材では10 以下が目安 。 含水率が高いことが原因でおこる不具合について。

⑥木の化粧等級:節の大小と数によって無節・上小節・ 小節・ 一等材に分類され、加工や価格に影響がある。

⑦表面加工:安全のため 、 均一な塗装のためにする木材表面の仕上げの種類の紹介

⑧板材の種類:無垢材 、 幅はぎ材 、 集成材 、 圧縮材、 合板などの説明 。 価格にも影響 。 譲与税利用には無垢材、 幅はぎ材 、 集成材が基本となる。

⑨塗装:屋外用塗装 、 自然系塗装 、 化学樹脂系塗装の特徴と注意点

⑩薬剤処理材:公共施設で外部に木材を利用する場合は防腐のため、 工場で薬剤処理された木材を利用するのでその説明。 また 、 外部使用の場合の経年劣化の例の説明。

上記のように、 行政の担当者が木製品発注にあたり 、 注意すべき木の基本を理解できるような初級編を心掛けました 。 「 木はいいけど公共施設では難しい 」 と思っておられる方が 「 チェックポイントに注意すれば木を使える 」 と思うことで譲与税の利用が促進され 、 市民への還元が進むことが大切だと思います 。