研修旅行  ー岐阜県・長野県の建物を訪れてー      

勉強会 2024.10.7

 10月7日~8日、もく(木)の会は、道の駅美濃にわか茶屋、岐阜県立森林文化アカデミー、美濃の町並み、岐阜市立中央図書館(メディアコスモス)、木曽アルテック、奈良井宿、木曽おもちゃ美術館を訪れる研修旅行に行きました。

道の駅から長良川を望む
道の駅天井

 2007年に開業した道の駅美濃にわか茶屋は木造でありながら高い耐震性と防耐火性を備え、防災拠点施設に認定されている建物です。計画から設計に関わられた辻充孝氏(岐阜県立森林アカデミー 木造建築専攻教授)より「木造で建てる」ゴールを目指し、地域の要望の聞き取り、国交省との調整、大径化した地域材の適正価格での活用など説明いただきました。

 岐阜県立森林文化アカデミーは1学年20人が2年間、森や木・木造・木工を実戦形式で学ぶ施設です。演習林をもつ40haの広大な山間に学舎や宿泊施設など複数の建物が分散して建っています。学舎は長良川流域に多い杉を使い、靭性の高い面格子壁が耐震性を高める役割をしています。

森林アカデミーの校舎
格子の耐力壁
morinos

    演習林入口にmorinosの森があります。ドイツの森の家」のように森の体験を通じ、森の豊かさを感じる施設です。休日には多くの子どもが身体と五感をフル回転させて全力で遊ぶそうです。

 引き続き辻先生に案内いただき、美濃のうだつの上がる町並みを歩きました。江戸時代に商家の町として栄え、現在、伝統的建造物群保存地 区に指定されている町並みは、美濃和紙の店、酒造、古い建物や長屋を再生・活用した施設が並び昔の面影を残しながら、現代を生きる町でした。

日が暮れて、岐阜市立中央図書館(みんなの森メディアコスモス内)に到着しました。設計は伊東豊雄氏です。あたりが暗いにも関わらず、外観のおおらかさと美しさに圧倒されます。

中に入ると、東濃ヒノキで格子が組まれた波打つ天井の美しさに見とれ、空間の豊かさに包まれます。どこに座っても、どこに立っても、何をしていても落ち着きます。「毎日ここに居たい」と思わせられる場所でした。     

東濃ひのきの天井
図書館内部

 翌日は木曽アルテック本社ショールームを見学しました。木曽のヒノキや漆の技法を使い、建築材、家具、引手など製作されています。漆の洗面ボウル、漆和紙など魅力的な製品を見せていただきました。

木曽アルテック内観      
椅子

 駅までは、かつての宿場町、奈良井の町並みを通りました。すぐ後ろに山をかかえ、軒が連なる旅籠の面影がそのまま残っています。

 最後に木曽おもちゃ美術館。旧黒川小学校の敷地を舞台に展開。体育館をリノベーションしたおもちゃのやかたでは、内装には木曽材がふんだんに使われ、子どもが創造たっぷりに遊べる楽しい仕掛けに驚かされました。

おもちゃの
やかた

 あれも見たい、あそこも行きたい、多くの希望の中で訪問先を絞った研修旅行。時間も体力もハードな研修ですが、詳しい説明をお聞きしたり、その空間を感じることは、やはり、そこへ行かねばできないこと。コロナ禍では叶わなかった旅に感謝する二日間でした。    

                                  [ 青木順子]