間伐材伐採体験ツアー 2003年8月23日~24日
岡山県の北部、鳥取県と島根県の県境にある真庭郡というところへ見学に行きました。真庭郡は古くから林業の盛んな地域で、今回は真庭木材青年協議会の主催する「森の学校」に青年協議会のご好意で参加させていただきました。 当日は夏の強い日差しにも負けず、まずは原木市場へ。近くの山から切り出されてくる杉や桧の丸太が、太さや曲がり、ねじれなどの有無によって選別されていました。市場は競りが行なわれるため、価格はその都度変わるとのこと。最近の市では1立方メートル3万円(丸太の価格で、製材品ではありません)で、杉の価格は上昇傾向ですが、急に2万円になったりする相場の世界です。安定した木材供給の難しい点です。
原木市場の後は、製材工場。皮が剥かれ、寸法を測って柱材が製材されていました。含水率が20%以下のものは、美作KD材として出荷されています。真庭郡にはこういった製材工場がたくさんある、とのこと。
製材工場を見学した後、真庭郡の木材が90%以上使われている、という建築現場を見学。12cm角の桧の柱がふんだんに使われ、梁材は地松を使用していました。 大阪では手に入りにくくなっている地松が真庭郡では簡単に手に入るようです。 屋根瓦はこの地方独特の光沢のある石州瓦。棟にはシャチホコが乗った伝統的な建て方でした。
現場見学のあとは、いよいよ今回のメーンイベント、間伐材の伐採体験です。国道から山へ入ること15分。手入れの行き届いた桧と杉の混合林に到着。
間伐材と聞いて、直系10~20cmほどの細い木を切らせてもらえるのだろう、と軽い気持ちで参加したのですが、ここでは、植林してから50年以上たったきちんと商品として出せる太い木を、インストラクターの方の指導で切らせてもらえました。
チェーンソーは思ったより重く、足元は傾斜地で滑るため安定せず、悪戦苦闘しましたが、木が地響きをたてて倒れる瞬間は畏敬の念をいだきました。写真は親子で参加してくださったお父さんが伐採に挑戦しているところと、それを見守るお母さんと子どもとツアー参加者です。お子さんの真剣な眼差しが印象的でした。
もく(木)の会では、これまで、各地の植林された山や原木市場、製材工場は数多く見てきましたが、間伐材の伐採体験は初めてでした。何十年もかけて育った木をこの手で切った体験は、何物にも変えがたい経験でした。全身汗びっしょりで取り組んだ伐採の後のビールとバーベキューは最高でした。
宿泊は、新庄村の毛無山の麓にある古い民家を移築した山の家でした。囲炉裏を囲んで木材青年協議会の方々と木材業界の問題点や都会の建築士が望むことなどを夜の更けるのも忘れて話合い、有意義な時間を過ごしました。
翌日は、山の家の近くの日本の南限といわれるぶなの原生林を散策。聴診器を太い幹にあてて、導管を流れる水の音を聞いたり、山頂の展望台に登ったりしました。森の空気はさわやかで、帰り道では日本百名水に指定されている野土路の涌き水に喉を潤しました。
その後、設計コンペで優勝したという「みまさか木の家」を見学。勝山ふれあい会館に戻って、「木の魅力」をもく(木)の会代表、藤田が話し、イベントは一旦、お開きになりました。 昼食の後、有志で寅さんの最終ロケ地となった勝山の古い街並みを散策。高速バスで帰途に。木材青年協議会の方たちの熱い想いと伐採した木の感触を胸に、これからも、日本の木で家を建てていこう、という思いを新たにしたツアーでした。