バスツアー『親子で楽しむ!山の木をまるごと体験』 2010年2月28日

イベント 2010.2.28

2月28日は、吉野中央森林組合の坂本理事のお世話により、奈良県吉野町の津風呂湖の近くの山で植林体験を行いました。参加した人数は、幼稚園から小学生、地元の奈良県立吉野高校の皆さんや先生、山主の岩本さん、森林組合の方、それにもく(木)の会のメンバーも加え、総勢56名になりました。吉野林材振興協議会の西本さん、吉野中央森林組合の坂本さんの挨拶の後、いよいよ植林です。

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まず、吉野高校の安原先生から、苗木の表裏の見分け方植える向き、掘る穴の深さや広さ、植えた後に土を入れて足でよく踏み固めてすこし引っ張ったくらいでは抜けないようにすること、などを教わりました。

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また、岩本さんからは、長すぎる根は切ったほうが苗の付きがいい、という補足もありました。岩本さんは80歳を越えておられ、山仕事の経験は60年以上、今なお山仕事を続けておられます。

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小学生の男の子が一生懸命穴を掘っています。お父さんは、苗木を入れてみて、「もう少し掘った方がええんとちがうか?」と声を掛けています。

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こちらの親子は、苗木の表と裏を確かめ、植える向きを間違えないように相談しています。

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今回は、参加者を6班に分け、吉野高校の生徒さんがリーダーとなり、それぞれに山仕事のベテランが付いていただいて、1.2ヘクタールの土地に300本ほどの苗を植えました。
参加した皆さんは植林するのは始めての人が多く、自分たちが植えた木が家の材料として使えるようになるには50年ほどかかる、と聞いて、「ぼくが60歳くらいにならないと、家が建てられないんだね」とびっくりしていました。山のきれいな空気を吸って身体を動かしたせいか、当日のお弁当はことのほか美味しく感じられました。

昼食の後、奈良県川上村のもくもく館の集会室で、日本の山の木を積極的に使って設計を行っている一級建築士・山本晶三氏より『木の家をつくろう!~なにが違う?どうやってつくる?~』と題してお話をしていただきました。

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山本氏は、子どもたちがイメージしやすいように木の家の模型を見せながら、普段、どのように木の家を設計しているかを分かりやすく説明してくださいました。また1軒の家が出来上がるまでを、基礎にコンクリートを打っているところから、材木の仕口を刻んだところ、柱や梁を組んで棟上げをしたところ、土壁の下地として竹小舞を編んだところ、土壁を塗ったところ、仕上がったところなどを写真で見せてくださいました。

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木の家は燃えやすい、というイメージを払拭するために外に出て、30mmの杉板にバーナーで火を噴きかけ、30秒たっても板は燃え上がらず、表面が数ミリ炭になっているだけだ、ということを見せてくださいました。子どもたちは目の前で燃やされる板を食い入るように見つめています。この炭の部分を「燃え代(もえしろ)」と言います。太い柱・厚い板を使うと焼け落ちるまでに時間がかかり、逃げ出す時間も増えるため、軒などに厚い板を貼って防火の役目を持たせている、というお話しがありました。

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木の家のセミナーの後、吉野林業の特徴が分かりやすく展示されている「もくもく館」を見学しました。最後に、杉の丸太を直角に輪切りにしたものと斜めに輪切りにしたものを吉野の製材所の堀内さんからプレゼントしていただきました。直角に伐ったものと斜めに伐ったものでは、割れの入り方が違うのだそうです。

今回の植林体験では、たくさんの方々にご協力いただきました。ありがとうございました。参加した子どもたちには、とてもいい経験になったことと思います。