見学会「大阪木材仲買会館」2013年9月9日

見学会 2013.9.9

今年の3月に竣工し、国内初となる耐火木造のオフィスビルとして注目を浴びている大阪木材仲買会館の見学会を、28名の参加を受けて行いました。

最初に3階の会議室で、工事をした竹中工務店設計担当者による建物の概要についての話を伺い、引き続き説明を受けながら建物内部を3階から順番に見せていただきました。

建物は1階がRC造(鉄筋コンクリート)で、2階と3階が「燃エンウッド」と呼ばれる耐火集成材を使った大断面木造となっています。この燃エンウッドは中心部から「荷重支持木部+燃えどまりモルタル層+燃え代木部層」からなる3層構造の耐火集成材という形式が取られており1時間耐火部材として国土交通大臣認定が取得されています。建物の木質化という分野を切り開く新たな材料として、今後の可能性に期待が持てます。

外観
木製サッシを開け外に出ると、避難経路でもある木製デッキが、樹齢50年を超える2本の大きな桜を囲むように弧を描いて広がっています。

このデッキは建物の庇の役割もしており、木部を上手く見せると同時に紫外線劣化を防ぐといった、まさにデザインと実用を兼ねたものです。

薄い板を挟んだガラスs

木製サッシのガラスには、木を削った際に出た削りくずがガラスとガラスの間に挟まれており、光を通して木目が透けて見えて何ともいえない柔らかな光を感じることができます。

格子壁s

1階から2階への吹き抜けを通して立てられた大きな木製のパーテーションは格子に組まれており、耐力壁という構造上の役割を持っていますが、それと同時にいろいろな種類の銘木の板が貼られていることで、木の見本としての役割も兼ねて備えています。

紙を練り込んだ左官材で仕上げられた廊下の白い壁面が、木の風合いを一層引き立たせているようでした。

トイレブース内のトイレットペーパー置きが角材をくりぬいて作られていたり、エレベーターの内装にも木が使われていたりと、内外装に最大限木が使われたこ
の建物は、コンクリートの箱が並ぶ周囲の環境の中では格段に表現豊かな印象を放っています。

単に耐火耐震などの木造ではなく、木材の可能性を追った建築として、木材類卸売業の組合にふさわしい建物ができたと言えるでしょう。

この建物の20年後、30年後はどうなっているか、是非見てみたいと思いました。