「洛西の歴史的な建物を訪ねて」(平成30年6月1日)
阪急上桂駅は嵐山線の駅のひとつです。観光シーズンから外れているとはいうものの、観光客らしい人も多く見かけた電車の中ですが、上桂駅での降車客は多くありませんでした。上桂駅周辺は有名観光スポットは少なく、その分風情豊かで静かなたたずまいのところが散見されます。今回訪れる寺院も住居も一般公開されているところではありません。
参加者18名、上桂駅からの緩やかな上り坂を上がって最初に訪れたのは黄檗宗「浄住寺」です。藤岡住職の出迎えを受けて、京都市の文化財環境保全地域に指定されている境内を通り、本堂へと誘われました。境内は青もみじの美しい季節を迎えており、駅から上り坂を上がってきた私たちには涼やかな心地よい風を送ってくれているようでした。方丈から眺める池泉回遊式のお庭には蓮の花も咲いていて水面に映る木々も初夏の風情です。
浄住寺の山門
お寺の説明をする藤岡住職
「浄住寺」から3分ほど歩いて訪れたのは「苔香居(たいこうきょ)」、こちらでは20代目当主の山口さんに迎えられて茅葺の長屋門から中へ、400年以上続く旧家の庭はその名前の通り苔が香るようで、明治期に移築された座敷との調和
も美しいものでした。
美しい苔の庭と苔香居の当主・山口氏
「私のスープ」ではほっこりできるスープのランチをいただきました。参加者のお一人が谷崎潤一郎の「陰影礼賛」の朗読を聞かせてくださるというサプライズもありました。
午後からは京都市の文化財マネージャー(ヘリテージマネージャー)の風月さんの案内で本陣を務めた「玉村家」、街道
沿いのスポットとジョージ・ナカジマ設計のカトリック桂教会を訪ねました。
樫原の旧本陣「玉村家」の当主、玉村氏
「玉村家」でも「浄住寺」「苔香居」と同様、ご当主の努力で維持されていること、教会では信徒さんたちが大切に使われていることを感じました。
カトリック桂教会の内部
私の地元である洛西地区(桂周辺)には多くの人には知られてはいないけれども、歴史的な建造物が多く残されていること、そしてその維持保全のためには、観光という視点からだけではなく、建物が持つ本来の力が活用されなければならないことを知ることができました。