完成見学会「自山の木を使って建てた龍蔵寺」 2009年10月25日

見学会 2009.10.25

平成21年10月25日、もく(木)の会メンバーの中川倶子が設計した篠山市の古刹、龍蔵寺の見学会を行いました。 お寺の見学の前に、同じ篠山市の北東部丸山地区の民家を民泊施設に改修した例を見に行きました。

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丸山地区の自治会長・佐古田氏より、なぜ民家を民泊施設に改修することになったかを話してもらいました。 丸山地区は65歳以上の高齢者がほとんどの限界集落だが、最近珍しくなった茅葺民家がたくさん残っている。 市や地元の建築氏らの助言もあり、地区全体で運営できるような施設を作ることになったとのこと。 耐震の方法、改修のコンセプト、費用などの説明を地元の建築士である才本氏が説明してくださいました。 両氏の説明を聞き、ふるさと再生事業として取り組まれたこの施設が有効に活用されることを願わずにはいられませんでした。

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「集落丸山」は原則として1棟貸し。1泊朝食付きで自炊もできます。朝食は、近くの蕎麦所「ろあん」より運ばれるそうです。 ベッドルームは和室を改修し、寝心地が良さそうなベッドが置かれていました。

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民家の1つの農機具小屋を改装して、篠山の食材を使った本格フランス料理店「ひわの蔵」がオープンしていました。 シェフは神戸のホテルに勤めていたとのことで、完全予約制だそうです。

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民泊施設の見学の後、今度は篠山市の南東部にある龍蔵寺へ向かいました。 武庫川の源流である渓流を登ると、龍蔵寺本堂の入り口です。数年前に裏山が崩れ倒壊した本堂を再建したのです。

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本堂に入ると、正面上部の窓から木々の緑が見えます。 本堂の両翼には木製デッキが設けられ、観音堂の見えるデッキでお弁当をいただきました。

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1時より、お寺を設計した中川から、住職の開かれた寺を作りたいという希望を聞き、何度も図面を引いて打ち合わせを重ね現在のような姿になった経緯を説明しました。 天井を張らず、屋根を支える4本の太い柱は存在感がありました。

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次に、お寺の山から木を伐り出し、それを乾燥させ、製材し、施工するところまで関わった地元篠山市の藤本林業所の藤本社長が、体験を熱く語られました。 龍蔵寺は、前住職が植林した木が50数年経ってちょうど伐り旬を迎え、本堂のほとんどの材料を自山の木で賄うことができました。まさに地産地消の建物です。

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最後に住職から、本堂再建にかけた想いをお聞きしました。 「お寺は形ではない。たくさんの人に集まってもらい、利用してもらうことがお寺の本来の姿だと思う」という言葉が印象的でした。 あえて、伝統的な形を取らなかったお寺の形の意味がわかりました。障害者や高齢者にもやさしいお寺になっていました。