淡路瓦工場見学会 2011年4月22日

見学会 2011.4.22

4月22日(金)、日本の三大瓦産地である淡路島に瓦の勉強に出かけました。当日は淡路瓦工業組合さんのご協力により3つの工場を見学させていただきました。まず、訪れたのは釉薬陶器瓦工場。瓦が出来るラインに従って、それぞれの工程を説明してくださいました。

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ここは土と水を同時に入れて混ぜるところ。混ぜた土を真空状態にして空気を抜き、製鉄のように板状になったものを半円形にして押し出しています。

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型押しした土に釉薬をかけています。

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窯で焼く前に乾燥させているところです。

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窯で焼くときれいな色のついた瓦が出来上がります。おじさんたちが検品をして結束していました。

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工場のラインにあったものはつやのある色瓦でしたが、艶消しやレンガ色の窯変瓦もありました。

次に訪れたのは、伝統的ないぶし瓦工場。以前は土で造った窯に入れて薪を燃やして焼き、最後に松葉でいぶしていたので、「いぶし瓦」と呼ばれるようになったとのこと。現在は松葉ではなくブタンガスを使っていぶし、炭素を固定させているとのことでした。

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いぶす前は瓦が茶色であることを見せる谷池さん。いわゆる和瓦の形もいろいろあって、この工場では鎬(しのぎ)と呼ばれる昔ながらの直線的な瓦を生産していました。現在は型押しが主流なのでSラインでも簡単にできますが、昔はヘラで削っていたから曲線は手間がかかったためだそうです。

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また、昔は土の上に瓦を載せるだけでしたが、現在は桟を打って瓦を釘で打ち付ける葺き方が主流になっていて、屋根の重さが軽減されたとのことです。

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いぶし瓦は釉薬ではなく細かい土を溶いた水をかけてから焼くそうです。こうすることによって、瓦の表面がきれいに仕上がります。この写真は余分な泥を拭き取っているところです。

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瓦の大きさは、1坪に何枚敷けるかで表します。「56」というのは1坪に56枚、「53」というのは1坪に53枚敷ける大きさです。現在は「53」が主流とか。「64」くらいまであり、門瓦や塀瓦などは小さいものが使われます。

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最後に、インテリアやエクステリアに使われる瓦や鬼瓦を生産している工場を見学しました。ありとあらゆるものが瓦で造られていて、置物や照明、ブロック、花瓶、お皿や箸置きまでありました。

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奥にはいろいろな鬼瓦が。由緒あるお寺やお城などの鬼瓦を作るときは、もとのデザインを踏襲して新しいものを収めているため、有名なお寺の古い鬼瓦も陳列されていました。丹念に鬼を彫る職人さん。1つ1つ手作りです。

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帰る途中で、昔ながらの達磨窯を再現したところを見せてくださいました。有名な写真家の方が古い製法のいぶし瓦にほれ込み、自宅の庭に窯を作ったのだそうです。今でもイベント時などに若手が集まって徹夜で薪をくべるのだとそうです。達磨窯があるところは、盛は過ぎていましたが桜が望める高台にあり、いい景色でした。

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瓦の街・南あわじ市は橋の欄干にも瓦が使われていました。普段は見ることができない瓦の製法を見せていただき、貴重な体験ができました。