自然素材あれこれ - 茅(カヤ) 

茅葺きに使われる「カヤ」は、「屋根を葺くのに使われるススキ・チガヤ・オギ・スゲなどイネ科、カヤツリグサ科の大型草本」の総称で、地方によってずいぶん違います。このうち、もっともよく用いられるのは、チガヤですが、暖かい地方ではススキ、水郷地帯(千葉県、茨城県、滋賀県など)ではアシ(ヨシと呼ぶところもあります)が使われます。また、カヤが足りなかったり、手に入りにくい場合には、ワラが代用品として使われることもあります。

しかし、カヤは油分を含んでいて水をはじきますが、ワラは吸う一方なので耐久性が劣ります。地方にもよりますが、大分県では、カヤは40年、麦ワラは15年、稲ワラだと7年しかもたないといわれています。以前はすこし郊外に行けばよく見られた茅葺き屋根も、最近ではほとんどなくなり、あっても、葺き替えがされないで、トタンがかぶせられているところが多くなりました。これは、カヤの入手が困難になってきたこと、村としてお互いが屋根の葺き替えを手伝うといった習慣がなくなってきたこと、カヤを蓄えておく場所が無くなったこと、葺き替え職人が減ってきたこと、などがありますが、一番大きな原因は、市街地では建築基準法により(防火上の問題から)重要文化財以外は葺き替え材料として許可されないからです。

もく(木)の会では、築70年余りたった茅葺きの民家の改修を行なったことがあります。屋根はチガヤとススキが使われました。その民家は建築基準法の規制がかからない土地であったこと、大量のカヤが入手できたこと、職人さんが快く仕事を引き受けてくれたこと、などの幸運が重なって、葺き替えが実現しました。

*自然素材の施工例
「茅葺きの家を第2の人生のために改修」