「どんぐりの森をつくろう」 ~橿原神宮と畝傍山周辺を歩く 2005年11月13日(日)
もく(木)の会では日本の山の木(杉や桧など)で家をつくることで、山を活性化し、山を守る活動を続けてきました。今回のツアーは、それだけでなく、日本の風土にあった木を知り、それを植えることで環境にも貢献しようと企画しました。
全国森林インストラクター会理事の齋藤先生の引率のもと、いよいよ出発です。まっすぐに橿原神宮へ向かうのかと思いきや、駅前に生えているサクラの前でひと講釈。「サクラの葉っぱを見てください。葉の付け根に丸いつぶが付いているでしょう。これは蜜腺といって、この蜜を食べにくるアリに葉を食べる虫を食べてもらって、葉が食べられないようにしているんです」うーん、なるほど、自然ってすごい、と感心していると、すぐ隣のクスノキの葉を拾い「クスノキの葉っぱにはダニの部屋があります」と続きます。いままでよく目にしていて知っていると思っていた木もインストラクターの説明を聞くとびっくりすることばかりでした。
橿原神宮に入ると、いよいよどんぐり拾いです。一口にどんぐりと言っても、クヌギ、カシ、シイ、と大きさや形も様々。シイは食べられる、と聞くと、皆さんの目の色が変わりました。神社によく植えられているオガタマの木の実を見せ、なぜ、この木が神社に植えられているかの説明を聞いたり、この木が自生しているのは九州で、邪馬台国九州説が正しいのでは?という歴史の話まで、齋藤先生の説明は木の知識を超えていました。
最後にどんぐりでできる簡単なおもちゃの作り方も教えてくださり、参加した子供たちは大喜びでした。拾ったどんぐりは、それぞれの家で植えられているはずです。何本のどんぐりが芽を出すかわかりませんが、数年後には、どんぐりを植える催しも企画したいと思っています。
● コラム 「植栽の役割」
もともと日本の土地の大部分は広葉樹林だったといいます。住まいを彩る植栽も、森の役割を担うことができます。日本の風土にあった土地本来の植生を守ること、これも私たちにできる「日本の森を守る」ことです。 植栽の理想形は「鎮守の森」です。多様な木々が混在する植生が日本の風土に合った「いのちの森」になります。常緑の広葉樹は、個人の住まいと公共空間をつなぐ緑のフィルターになります。また、シイやカシなど、葉の厚いものは水分を多く含み防火の役割を果たします。さらに針葉樹よりも根が深い広葉樹は防風にも役立ちます。夏涼しく、冬暖かい場所をつくるにはケヤキなどの落葉樹が適しています。ひとりひとりが「いのちの森」をはぐくむことも、私たちが暮らす環境を守ることに繋がっていくのです。