高知県馬路村の魚梁瀬(やなせ)杉を訪ねて 2007年11月23~24日

イベント 2007.11.23

もく(木)の会が発足して1年目、当時高知県大阪事務所の方のお誘いで、高知県北部の杉の産地や漆喰工場の見学に行きました。 それから8年「今は馬路村役場にいますので、是非、魚梁瀬杉を見に来てください。」とお声をかけていただき、現在の大阪事務所の方のご尽力もあって、今回の見学会が実現しました。  11月23日、明石海峡大橋を渡って四国へ入り高知へと向かいました。最初に訪れたのは高知市内にある馬路村の森の情報館「エコアス馬路村」でした。柱や梁に用いられた魚梁瀬杉は 写真でおわかりいただけるようにあらわしになっており木の持つ良さを充分に発揮していました。梁や柱に1本当たりの価格が明示されていたのも、木は決して高いものではないということが、一般の方々にわかりやすく良い試みだと感じました。ここに訪れる方が、木の良さを体験し、設計者とも相談ができるということで、文字通り魚梁瀬杉の情報発信館です。

act200711_umaji001

この情報館から30分ほどバスで移動し、魚梁瀬杉を使って多くの住まいづくりをされている方が設計監理している住宅の現場を見せていただき、お話も伺いました。私たちと同じようにその地域の材を使って、その地域にあった住まいをつくるということで魚梁瀬杉としっくいを使い、台風の通り道の地域として細かい部分に気をつけておられることも併せてお聞きできました。写真は見学した住まいと、この地方によく見られる壁庇のついた蔵です。壁庇も台風による暴雨で壁が傷むことを最小限にとどめるためのものです。

act200711_umaji002 act200711_umaji003

馬路村は今は「ゆずの村」として村おこしに成功し、全国的に知られている村ですが、その昔は魚梁瀬杉の産地として日本の林業の一翼を担っている林産地でした。 24日は、早朝から千本山の天然杉の巨木を見に行きました。樹齢100~300年の杉は私たちを圧倒する迫力で、しばし声も出せず仰ぎ見ているという感じでした。さすがに日本の三大美林と言われるだけのことはありました。

act200711_umaji004 act200711_umaji005

馬路林材加工協同組合では天然林近くの人工林から伐りだした杉を加工製材していました。パラフィンにつけるという行程を経ての乾燥方法は初めて見るものでした。20%の含水率を達成するためにどこの産地も試行錯誤を繰り返していると言うことをここでも実感しました。

SANYO DIGITAL CAMERA

今回は、ゆずの収穫最盛期という時期に伺い、私たちは「山じゅうゆず」という美しい景色も、ゆずを集荷し搾っている工場も見学することができました。村おこしに成功した村らしい生き生きした村役場などの様子も見るにつけ、街で国産材を積極的に住まいづくりに使っているものとして魚梁瀬杉が産業のもう一つの柱として復活すればいいのになぁと、感じた2日間でもありました。