見学会「龍蔵寺(兵庫県篠山市)」2014年9月19日(金)

見学会 2014.9.19

2009年10月に完成見学会を行った篠山市の龍蔵寺を5年後の木の経年変化を確かめるため9月19日(金)に再度訪れました。

 住職の説明2

まず、上阪住職よりこの本堂を再建した経緯をお話しいただきました。龍蔵寺の山は、戦時中、軍用船のためにかなり伐採されましたが、まだ樹齢150年~180年経った木も残っていたため、地滑りで倒れてしまった本堂の再建に使用することにしました。設計者に要望したのは、冬の寒さ対策と湿気対策でした。設計した中川は、寒さ対策には床と壁に発砲系の断熱材を、天井にはスタイロフォームを入れました。その結果、冬は薪ストーブと石油ストーブのみで過ごせるとのことでした。また、湿気対策では床の高さを105cmとしました。これにより床下の点検もしやすくなっています。電気配線は日頃の使用状況を想定し、差込口を多めに設置しているので便利です。よい古材は出来るだけ取っておいて再利用したので落ち着いた感じになりました。

 

藤本氏の説明

その後、龍蔵寺の山より木を伐り出し、乾燥させ、製材を行った藤本氏より、山に入って木を調査し始めてから上棟にいたるまでを豊富な写真を使って説明していただきました。予想していたより良い材が取れたため天井のJパネルと一部ベイマツを使用した以外は、すべて山の木で賄えたそうです。また、製材するととてもきれいな木目が表れたので、漆喰仕上げの予定だった前室の天井に使用することを提案したことなどをお聞きしました。

完成時の外観s

完成時の外観

5年後の外観s

5年後の外観

説明の後、木の経年変化を確かめました。内部の木材は、5年経ってもほとんど変色も割れも見られませんでした。床の仕上げには米ぬかを原料としたワックスを使用、住職の日々の手入れのお蔭で非常に良好な状態が保たれていました。外壁は全面杉の横貼りで、木材防護保持剤を塗った後、自然塗料で着色されています。ウッドデッキは年に1回防腐剤を、外壁も年に1回塗りなおしていますが、外壁の雨が当たった部分、玄関の下部やデッキに面した木製サッシなど雨の跳ね返りを受ける部分は退色が見られました。また、階段やウッドデッキの手すり部分は黒ずんで来ていました。軒裏はほとんど変色は見られませんでした。

最後に、住職に本堂をどのように活用しているかお伺いしたところ、直近では、中秋の名月の頃にウッドデッキを使って和太鼓や笛・舞踏などのアーティストがコラボしたコンサートが開かれたそうです。これからも、開かれたお寺として多くの人に訪れてもらいたいと思っています。