大阪府産材を使った福祉施設見学会 2011年6月23日

見学会 2011.6.23

6月23日(木)、大阪府産材を使用した福祉施設が完成した、と聞き見学に行きました。 場所は、南海「泉佐野」駅から徒歩10分ほどの古い街並みの一角。 まず、地域交流センターとして建てられた木造平屋建ての施設を見学しました。 入口まではスロープがあり、室内に入るところも段差がありません。 車椅子の人でも楽に出入りできるような計画になっていました。

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なぜ、このような施設を木造で建設しようと思ったかを、社会福祉法人「来友会」理事長の西座さんから説明していただきました。 西座さんは、2階建てまでの高齢者施設は鉄筋コンクリートに塩ビのシートを貼ったような冷たい空間ではなく、木を使った温かみのある建物が良い、と常々考えていたそうです。 そんな時、大阪府産材を使えば、建設費用の半分を補助してもらえる、という制度を知り応募した、とのこと。 現在の介護制度が抱える問題点などもお話ししてくださいました。

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その後、大阪府森林組合の岡田さんより、床や壁の製材品だけでなく、構造用合板も大阪府の材を使って特別に製作してもらった、という説明がありました。 地域交流センター「陽だまり」は天井が無く、大きな4本の登り梁で屋根を構成していて、頂点には天窓が設けられ、明るい室内になっていました。 この天窓は、夏は暑いかも?とのことでしたが。 メンテナンスを考え、床は桧を使用、壁と天井は杉を使っています。 窓も大きく取られ、開放的な空間になっていました。 現在は、川柳の集まりなど週に1回程度の利用があるそうです。

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こちらは、木造2階建ての小規模多機能ホーム「くすのき」。 従来の介護方法(ケアマネージャーがその人の介護度に合わせて入浴・掃除・買い物などのサービスのプランを立てる)だと、世話をする人がそれぞれ変わり、高齢者の中には嫌がる人もあったのですが、 小規模多機能ホームではいつも同じ人が対応するので、安心してサービスが受けられる、とのことです。

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中に入ると、事務所と入浴施設があり、その向こうに広々としたダイニング・リビング空間が作られていました。 耐震上、どうしても中央の柱は抜けなかったようです。 木造はこのような欠点はありますが、やはり、床や天井に木が使ってあると入所者は落ち着くようでした。
照明器具は、職員の方がいろいろと検討し、取り外しが簡単で、スイッチの管理で部分的に点けたり消したり出来るドーナツ型の電球が採用されていました。

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リビングの一角には畳コーナーがありました。 まん中の板を外して足を付ければ、掘りごたつに早変わり。 吊扉も付いていて、閉めると部屋としても使えます。

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奥には宿泊ができる部屋が用意されていました。廊下の手すりは普通の丸い棒ではなく長細い板でしたが、裏側に溝が彫ってあり、つかみ易いように工夫されていました。 部屋の名札は、職員さん手書きのお花が。とてもきれいな絵でした。 小規模多機能ホームは、24時間・365日いつでも職員がいて、その人が利用したいときに、利用したいサービスが受けられる、とのこと。 地域にこのようなサービスがあれば、安心して老後が暮らせるのでは、と思いました。